『愛され、親しまれ、信頼されるJA』を目指して
JA成田市


JA成田市広報紙「みのり」掲載(毎月1回発行)
花と遊ぶ『遠山野草園の四季』著者・安達廣子(小菅)

アメリカセンダングサ(キク科) 第115章 2010年新年号掲載

 作業場の犬走りの付近には、アメリカセンダングサが咲いています。茎は直立
で、途中から盛んに枝を分け、枝の先に小さく目立たない黄色い花をつけていま
す。辺りを散策すると、知らない間に草の実がズボンやセーターにくっついてい
ます。 
 和名亜米利加栴檀草は、葉の形がセンダンに似ているのと、原産地名が命名の
由来です。北アメリカ原産の帰化植物で、別名セイタカウコギと言い、大正時代
に渡って来たようです。茎は角張って紫褐色で、草丈一メートルほどです。実に
は二本の角があり、そこに小さなトゲが生えていて、衣服や動物の毛にくっつき
ます。ついた実の形を虫めがねでのぞくと、衣服につきやすい仕組みになってい
ます。自分からはじけて飛んだりしません。人や動物にくっついて、実を遠くま
で運ぶのです。私は、ヌスビトハギやオナモミ、キンミズヒキの仲間を、くっつ
き草と呼んでいます。

 暮の空港周辺美化運動に、遠山蘭の会の友達と参加した時、寺台の道沿いでア
メリカセンダングサを見つけました。子どもの頃、勲章に見立てて遊んだもので
す。懐かしくて、そっと花をつみ取って、胸につけました。

   冬の野に花麗しき栴檀草

カタヒバ(イワヒバ科) 第116章 2010年2月号掲載

 氏神様の前のカタヒバは、冬日照を受けてほんのりと紅葉しています。辺りは
枯れ草なのに、草丈二十センチほどで、その周りは小さなカタヒバが点々と生
え、これから殖えそうです。

 和名片檜葉は、イワヒバとの対比から名づけられ、カタヒバは一本ずつのヒノ
キの枝を差したように見えるからです。乾燥すると、葉が内側に巻き込むが、湿
気を含むとまたもとに戻るという特徴があります。山中の岩上や樹上に群生し、
細い地下茎が伸び、所々で地下茎を立ち上げて殖えます。常緑の多年草で日なた
や盆栽の下草にも見られますが、野草園の木陰や苔の多い所の方がよく見かけま
す。イワヒバ、リョウメンシダ、クラマゴケ、ヒトツバに混じりカタヒバが生え
ていますが、日当たりが悪い所は赤く紅葉しません。 「これカタヒバって言う
のか。殖えてしょうがないから抜いてるよ。今度とっておいてあげるよ」と、友
達は植木鉢の台の下をのぞいていました。植物の名前を知らなくても、その特徴
や季節の移り変わりに気づくことの方が心豊かではないでしょうか。名前は後か
らついてきたものなのです。

  木枯らしに片檜葉赤くほんのりと

スノードロップ(ヒガンバナ科) 第117章 2010年3月号掲載

 「こんなに小さいのに、かわいい花だね」霜にも雪にも負けず、うつむいて咲
く白い小さな花は、春の近さを感じさせてくれます。

 スノードロップは英名で、雪の雫という意味です。春に咲く球根花で、別名マ
ツユキソウやユキノハナとも言われます。花弁が雪の耳飾りがぶら下がっている
ようにも見えます。二枚の葉の間から七センチほどの花茎を出し、その天辺に真
っ白い花が一つ下向きに咲く姿は、清楚で可憐です。六枚の花弁は、外の花弁が
大きいので三弁の花のように見えます。内側の花弁に緑の斑点があるのが特徴で
す。葉は自然に枯れるまでそのままにしておきます。葉は球根に栄養を貯える大
切なものだからです。

 去年の十月、大きな植木鉢にスノードロップの小型球根を五球植えました。一
月下旬、しっかりした芽出しと同時に真っ白な花を見つけました。さっそく、カ
リンの木の下に五球移植しました。植えた球根の数だけ芽が出る。当たり前のこ
とですが、寒さの中でも生長する生命力を感じました。まもなく、クロッカス、
スノーフレーク、各種スイセンが春の訪れを告げます。

  早春の純白可憐スノードロップ

セキショウ(サトイモ科) 第118章 2010年4月号掲載

 ツバキの花が落ちる頃、セキショウが葉の間から花茎を出し、ツクシの穂のよ
うな黄緑色の小花をつけます。葉をもむと、ショウブのようなとても良い香りが
します。
 和名石菖は、端午の節句の菖蒲と似ていますが、水辺の岩や石の間などに自生
している所から名付けられたそうです。ショウブより小型で、ニワゼキショウよ
り大型の常緑の多年草です。花茎の丈は二十センチ、花序は先が長く伸びてとが
り、十センチほどになります。花茎は斜めに伸びてその先に花穂が垂直に付くの
で、くの字形に見えるのが特徴です。古村では家の敷地の周りや土留めに生えて
います。斑入りの園芸品種もあり、水辺の植栽や盆栽、花壇の縁取りに利用され
ています。我が家では、東屋から湿地に入る場所に生育し、株分けで殖やしてい
ます。

 野良かけずり回って遊んだ子どもの頃を思い出し、セキショウの花穂で目はじ
き遊びをしました。上瞼と下瞼の上下二センチほどに花穂を挟んで、目を大きく
するいたずら遊びです。すぐはじけてしまいますが、それがおもしろくておかし
くて懐かしいです。孫たちにもこの遊びを伝授して楽しんでいます。
  さりげなく香り運びし石菖の

オオアラセイトウ(アブラナ科) 第119章 2010年5月号掲載

 近所からいただいた花の咲いたオオアラセイトウを、庭に何回か植えています
が、種からでないと育ちません。昨年、種からまいて今春に移植したら、やっと
四弁花の紫色の花を見ることができました。来年はこぼれ種から繁殖するのを見
られそうです。
 オオアラセイトウは、ナノハナに似ているところから、一般的にムラサキハナ
ナと呼ばれます。中国原産の越年草で、ショカッサイ、花と色が大根に似ている
ことからハナダイコンなどとも呼ばれています。草丈五十センチ程で、赤紫色や
薄紫色の十字状花を咲かせます。食卓で食べられたり、観賞花として親しまれて
います。家では作業場の裏手に咲いています。隣によく似たオオバンソウが咲い
ていたので、どこが違うか友達と観察しました。二人で調べると、色の違い、葉
の形、雄しべ雌しべの付き方の違いが分かり、とっても楽しいひと時です。
 成田市役所から成田山に向かう旧道、成宗電車のトンネルを過ぎた土手は、ハ
ナダイコンの紫です。夕暮れ時、風に揺れる紫があまりにも美しいので、何度も
車窓から春の風物詩を楽しみました。

  花大根花むらさきに土手染める

ヒトリシズカ(センリョウ科) 第120章 2010年6月号掲載

「今年もやっぱり咲いていたんだね。もう少しで切ってしまうところだったよ」
伸び放題の草むらを、この辺りかと鎌を入れヒトリシズカの白い花穂を見つけま
した。フ
タリシズカやドクダミに隠れても、単独で咲くのではなく株立ちするの
で分かります。

 和名一人静は、花穂が一本で物静かな草姿
を、静御前の舞い姿に見立てていま
す。別名
ヨシノシズカやマユハキソウとも呼ばれ、出たばかりの新芽は目立たな
いので見つけにく
いです。草丈十五センチほどで、四枚の葉が輪生状に対生し、
真ん中から一本の茎が出て
白い穂状の花をつける多年草です。白い糸状の部分
は、雄しべの集まりで萼や花びらでは
ありません。目立つ花ではありませんが、
暗い木陰で見ると、凛とした姿に心が洗われるようです。似た名前のフタリシ
ズカの花は、
花穂が二本あることだが数本出るものもあり、草丈は三十センチほ
どで少し遅れて咲きます。

 二十年程前に長男が買った「野山の花」という本に、ヒトリシズカの押し花を
見つけま
した。いつか孫もこの本を開く時が来るかもしれないと思いながら、私
も押し花にしまし
た。
   ひっそりと一人静の舞を見る


フナバラソウ(ガガイモ科) 第121章 2010年7月号掲載
 
 今年もフナバラソウに会えるかと、野草園入口の日当たりの良い場所を探しま
した。少し離れた草むらに、やっぱり咲いていました。毎年場所を少しずつ移動
して咲きます。

 和名舟腹草は、実の形を舟の胴体に見立てたことが由来です。別名ロクオンソ
ウとも言われます。草丈六十センチほどで、まっすぐに立った茎は、枝分かれせ
ず存在感のある多年草です。葉は楕円形でビロード状の厚い葉に柔らかい毛があ
り、茎に向き合うように生えています。上部の葉の脇に黒紫のチョコレート色の
花を数個つけます。水野葉舟が書いた『三里塚散歩』の中に、『それから、思ひ
ついて梅林の方に歩いて行きフナバラサウの花を見にゆく。もうあの黒ずんだ紫
のガガイモ科の草特有の星形の花が開き始めてゐる。その傍にあるスイカヅラの
花の甘い匂ひが、柔かに漂ってゐる』と、書いてあります。昔から、旧遠山村辺
りは野草の宝庫だったことが伺われます。

 十年も前のことですが、押畑に住む女の人が「毎年この花が咲くのですが、花
の名前を教えてください」と、持って来てくれました。たった一本咲く貴重なフ
ナバラソウです。

 
初夏に入り人目につきし舟腹草

ノコギリソウ(キク科) 第122章 2010年8月号掲載

 梅雨の晴れ間に、玄関の階段下にノコギリソウを見つけました。アップルミ
ントやアラ
ゲハンゴンソウに混じって、白く一輪だけ咲いていました。その周
りを刈ると、十センチ
程のノコギリソウが顔を出してきました。
 和名鋸草は、葉が鋸の歯に似ていることが由来です。互生する葉はぎざぎざ
で深く切れ
込み、草丈八十センチ程の多年草です。昔はどこの家にもありまし
たが、最近見かけなく
なりました。白い小さな花の集合を羽衣に見立て、ハゴ
ロモソウとも言われます。日本に
古くから自生している花は、多少ピンクがか
ることはあっても白花で、葉は厚く硬くぴんとして、茎もしっかりしていま
す。西洋ノコ
ギリソウの葉は柔らかく、花も紅、濃紅、黄と鮮やかで野生化し
たものも多いです。昔か
ら切花として利用されています。
 去年の十月、成田市生涯大学院同窓会で長野県の美ヶ原高原美術館に行って
来ました。
高原の秋は早く、草花は枯れていましたが、ノコギリソウの頭花や
枯れ草の跡が随所に見
られました。友だちと花のパンフレットを頼りに、夏の
高原を彩ったであろうノコギリソウを想像しながら、高原の秋を満喫しまし
た。
 
仏前に昔なつかし鋸草

ワイルドオーツ(イネ科) 第123章 2010年9月号掲載

 「小判に似ているよ。正月飾りのお多福と一緒の縁起物だね。初めて見たよ」
小菅のご夫妻は珍しそうに眺めています。こぼれ種で繁殖し、コバンソウが枯れ
る頃、ワイルドオーツの穂が出始めます。

 和名偽小判草は、コバンソウに似ているのが由来です。別名セイヨウコバンソ
ウやカラスムギとも言われています。日本に自生しているコバンソウはふっくら
丸みを帯び楕円形なのに対し、帰化植物のワイルドオーツは、花穂は麦を押しつ
ぶしたように平べったく吊り下がり、耐寒性もあります。どちらも同じイネ科の
多年草で、いろいろな場所に移動して生えるので、まるで「雑草の旅人」のよう
です。ペン先のような葉は、とても硬くしっかりして草丈七十センチもありま
す。見た目では、その辺の道端の草と変わりませんが、風に揺れる草姿で目を楽
しませてくれます。控え目な脇役で、和洋問わず利用できるので、ドライフラワ
ーとしても人気があります。

 夏の盛りに佐倉市の川村記念美術館を訪れた時、入口の花屋さんにワイルドオ
ーツがひらひら揺れていました。この花穂が黄金色に色づく頃、秋の気配が漂い
始めます。

 夏草にひときわ目立つ偽小判


コンロンアサガオ(ヒルガオ科) 第124章 2010年10月号掲載

 「おはよう。今日もきれいだね」早朝五時、朝露に濡れて咲く深い紫色のコン
ロンアサガオに魅了されています。朝もやの中で凜と咲く花は、小ぶりで神秘的
なかれんさを漂わせています。

 和名崑崙朝顔は、中国のコンロン山脈に咲くアサガオの原種が由来です。コン
ロン山地といえば、六千メートル以上の山々が連なる秘境です。花は早朝に咲
き、午前中にしぼむ一日花です。「その花の美しさを安達さんにお分けしたく種
子を用意しました」と、女の人の手紙と種を、農協の係の人が届けてくれまし
た。めずらしくて難しそうなので、栽培上手な友人にも分けました。まず、小粒
の種を水に浸し、日当たりと水はけの良い作業場脇に直まきにしました。小学一
年生の朝顔の観察のように、双葉が出て支柱を立て花が咲くのを、今か今かと観
察しました。

 八月十三日、やっと一輪、濃紫色で、中の白が涼を呼ぶ花が咲きました。翌日
から蕾が次々咲き出しました。花は漏斗状で五センチほど、つる先の蕾は三つに
分かれ、葉はハート形です。花の咲き方や特徴、種子のでき方など、霜が降りる
まで観察はつきません。

 朝顔や数をかぞえて濃むらさき


キツリフネ(ツリフネソウ科) 第125章 2010年11月号掲載

 「一本の細い柄で、つり上げているんだね。下の花びらは蝶の羽のようで、茎
は真っ直ぐ」
芝山の友人は、葉を手で触ったり匂いをかいだりして、五感を働か
せています。息子さん
の結婚式の招待状を持参した友人に、祝い花としてキツリ
フネを見せてあげたのです。

 和名黄釣船は、黄色い花のツリフネソウが由来です。花が帆掛け舟をつり下げ
たような
形をしています。紅紫色の花が普通ですが、黄色はめずらしく印象的で
す。茎の上部で枝
を分け、枝から柄をいくつか出して黄色い花をつけ、花の内面
には赤褐色の斑点がありま
す。漏斗状の花が柄からぶら下がり、舳先の部分が巻
いています。草丈は八十センチ程、
茎の節はふくらみ、葉は楕円形で柔らかいで
す。キツリフネは、ホウセンカと同じように
熟すと果皮が裂け、勢いよく種子を
はじき飛
ばす一年草です。別名ヤマホウセンカ、花の形がほら貝にも似ているの
でホラガイソウと
も言われます。
 四、五年前に、野草園見学者にキツリフネをいただき、東屋の下の湿地に植え
ました。
清楚な草姿に魅了され、長靴を履いて湿地に入っては、自然のすごさに
感動しています。

 湿り地にみずみずしさの黄釣船


キバナアキギリ(シソ科) 第126章 2010年12月号掲載

 今年は、例年になく寒暖の差があったので、ドウダンツツジが真っ赤に紅葉し
ています。
近くの木陰や木道の周りには、キバナアキギリの黄色が所々残ってい
ます。赤と黄が鮮や
かです。
 和名黄花秋桐は、秋に黄色の花が咲き、葉形がキリに似ているのが由来です。
別名コト
ジソウと言い、葉のきょ歯の鋭いものを琴柱に見立てています。茎は四
角形で、直立する
ものや、はじめ地を這い後で立ち上がるものもある、草丈三十
センチほどの多年草です。
サルビアの仲間で、唇形花を数段咲かせます。花弁は
三センチほどで、上唇から出ているの
は雌しべで、先が二裂になっています。サ
ビアは園芸用として売られていますが、里山植物のキバナアキギリは在来種で
自生してい
ます。栽培も容易で、茶花としても利用されています。丈夫で何度刈
っても生えてきます。

 十一月中旬、友人と房総のむらのカタクリ移植地を見に行った時、夏にキバナ
アキギリ
が咲いていた山道を散策しました。花はほとんど散っていましたが、し
っかりと草姿が残
っていました。その姿がシソの実にそっくりで、シソ科の仲間
であることを実感しました。
 
 秋過ぎて黄花あきぎり花保つ
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