『愛され、親しまれ、信頼されるJA』を目指して
JA成田市


JA成田市広報紙「みのり」掲載(毎月1回発行)
花と遊ぶ『遠山野草園の四季』著者・安達廣子(小菅)

ヤブコウジ(ヤブコウジ科) 第175章 2015年新年号

 タイサンボクの木陰に、高さ20㌢ほどで赤い実をつけたヤブコウジが自生しています。落ち葉の中で他の草花との相性も良く、互いの美しさを引き立て合っています。
 和名藪柑子は、藪に生え古くから栽培されていたコウジ(小形のミカン)に見立てたのが由来です。別名「十両」や「ヤマタチバナ」とも言われています。『万葉集』では、山橘として詠まれています。常緑の小低木で、夏には可愛い白い小花を下向きにつけます。晩秋に7㍉ほどの球形の赤い実をつけ、地下茎を伸ばして殖えます。日陰や寒さにも強く、葉は年中深緑色で、まばらに付けた実は翌春まで付いています。根は薬用で、生薬名は紫金牛(シキンギュウ)で利尿、咳止め、解毒作用があります。江戸時代には葉の変わった品種の栽培が盛んでブームになったそうです。
 ヤブコウジはセンリョウ、マンリョウ、ナンテンの実などと同様、正月の飾りに用いられます。特にヤブコウジが「おめでたい」と言われるのは、いつまでも同じ葉と同じ実をつけ続けるからです。私は、古典園芸植物のヤブコウジを鉢物に仕立て、床の間に飾り清々しい気持ちで新年を迎えます。

   床清し赤い実二つ藪柑子

ビワ(バラ科) 第176章 2015年2月号

 門道の右側に、昔からビワの木があります。キヅタが絡まっていたので切ると、大きく広がった葉の間で、枝先に5弁の白い花が咲いています。甘い香りを放しています。
 和名枇杷は、葉の形が楽器のビワ(琵琶)に似ていることが由来です。中国原産で、葉は互生し20㌢位で、10㍍にもなる常緑高木です。兎の耳のような形の葉は厚く光沢があり、裏は綿毛が密生しています。花期は冬ですが、果実は2月末頃からゆっくり肥大し、6月頃に黄橙色に熟して食べられます。生薬名はビワ葉で、薬用部分は葉で、浴湯料として利用、風邪予防にも効能があります。初秋に、1年葉を採集し、葉の裏毛を取り除き日干しにし、細かく刻んで使います。千葉県の房州ビワは有名で、高校の時、水泳の合宿で富浦に行った時、暖地で果樹として栽培されていました。
 ビワは縁起が悪いから庭に植えてはいけないとの迷信がありました。狭い庭に植えると、日差しが遮断され陰気になるからでしょう。私の今年の目標は、市販されているようなきれいに細かく刻んだ枇杷葉をたくさん作り、ビワの葉茶をみんなで飲んでみたいです。♪桃栗三年柿八年枇杷は早くて十三年

  門道に甘い香りの枇杷の花


オウレン(キンポウゲ科) 第177章 2015年3月号

 「わあ、もう咲いている。一番星見つけた」2月初め、寒さの中で星のような小さなオウレンの花を見つけました。根元から10㌢位の花茎を出し、2~3個の白い花をつけます。1㌢程の花は外側が萼で、中の小さな花が花弁です。葉は光沢がありセリに似ています。
 和名黄連は、根茎の横断面が黄色く、節のように連なっていることが由来です。地下茎や根をかむと苦く、内部は鮮やかな黄色の常緑の多年草です。日本の固有種で、古くからの薬草です。生薬名はオウレンで、胃のもたれや食欲不振などに薬効があります。薬用部分は根で、定植後5~6年目の秋に根茎を堀り上げ干した物を煎じて飲みます。日本産オウレンは薬効が高いとされ、江戸時代には中国や朝鮮方面に輸出されていたそうです。
 「もう何年も経つのにオウレンは殖えないよ。掘ってあげるから持って行きなよ」と、芝山の親戚から頂いたオウレンです。私は、数年前に栽培し枯れてしまったのでとても嬉しかったです。オウレンを薬用にするには、種をまいて収穫するまで少なくとも5、6年を要します。大切に保護し育て、次の世代に渡したい民間生薬のオウレンです。

   園の隅白き黄連星のよう


カワヅザクラ(バラ科) 第178章 2015年4月号

 4年ほど前、成田さくら里の「一足早いさくらまつり」で、いただいたカワヅザクラの苗がやっと咲き出しました。我が家では、初めての孫娘の初節句に華を添えてくれました。人も木も自然界の生き物です。皆で大切に愛情を注いで育てたいと思います。
 和名河津桜は、静岡県賀茂郡河津町の飯田勝美氏がカワヅザクラの苗を見つけ、河津町に原木があるのが由来です。昭和30年頃の2月のある日、河津川沿いの冬枯れの雑草の中で芽吹いているサクラの原木の苗木を見つけて、現在の地に植えたものです。カワヅザクラの特徴は、他の種類のサクラより早く咲いて、花が大きくピンク色が濃いです。寒い時期に咲くので満開を長く維持できます。河津桜まつりに2度ほど行きましたが、成田は河津より咲く時期が1ヶ月ほど遅れます。
 平成15年に、「平成の花咲か爺さん」は、野毛平浅間の山林に「成田さくらの里」を立ち上げました。山長である平成の花咲か爺さんが野草園に来てくれました。「このカワヅザクラは、さくらの里からだね。剪定しなくちゃ」と、言いました。花神の如く楽しそうに野草園を飛び回って剪定していました。

早咲きの河津桜が風に舞う


クロモジ(クスノキ科) 第179章 2015年5月号

いつ咲くかと待っていたクロモジの花が、やっと咲き始めました。黄緑色の花は、葉が出るのと同時に下向きにつき、小枝の上に並ぶのが面白いです。40年以上前から、木漏れ日が当たるような半日陰で育っています。
 和名黒文字は、若枝の表面にでる黒い斑紋を文字に見立てたのが由来です。古くからこれを削って楊枝を作っており、楊枝の木とも言われています。現在でも和菓子など、特に選ばれた所では、クロモジの楊枝が使われています。枝を高級楊枝の材料として、茶席での必需品で、楊枝自体も黒文字と呼ばれています。葉や枝には芳香があり、枝葉を蒸留して黒文字油をとります。果実は、10月頃に黒く熟し光沢があります。落葉低木で、若枝は緑色のすべすべ肌、次第に黒い斑紋がでて、古くなると灰色の樹皮に覆われます。
 クロモジは、葉や枝ぶりの雰囲気を楽しみ、剪定の手間もほとんどかかりません。義父は、冬になるとクロモジの枝を切り、楊枝を作っていました。短いのや長いのもあり、用途により使い分けをしていました。特に根本に皮を残すのが上品とされています。私は、お盆にクロモジの花を添え、お茶会をしています。

黒文字の香り残せし雨上がり


シラン(ラン科) 第180章 2015年6月号

初夏の野草園には、紅紫色のシランがよく似合います。丈夫で耐寒性もあるので、湿り気と日当たりの良い場所で栽培しています。
 和名紫蘭は、その名の通り、紫色の蘭というのが由来です。葉は硬くて幅広く、太い縦脈が目立っています。草丈50㌢ほどの多年草で、花茎を出し、花は下から総状に咲き上がります。栽培がやさしいためか、花が好きだった義母は、畑にいっぱいシランを殖やして、近所の人に鍬で掘って分けてあげていました。
 山間の湿地に自生するシランは、千葉県レッドデータブックでは、要保護生物に入っており、絶滅が危惧されています。生薬名は白笈(ビャッキュウ)で薬用部分は鱗茎で、外傷薬や胃腸薬などの薬効があります。シロバナシラン、クチベニシラン、フイリシラン等の種類もありますが、薬効は同じです。
 今年も、下総地区の滑河山龍正院(滑河観音)のシランを訪ねました。山門を入り寺務所の前は、5月の上旬でしたので7分咲きでした。友人と無言のまましばらく見入っていました。再度、中旬の紅紫の花一色の寺を訪れてみたいと思いました。ここも、私の大好きな「お花の見学場所」です。

紫蘭咲き母の面影偲ばれる


オニノヤガラ(ラン科) 第181章 2015年7月号

梅雨時の栗林に、30㌢ほどの黄褐色のオニノガラが転々と生えています。「今年も出て来たね」と、引き抜くとジャガイモのような根茎がしっかりついてきました。
 和名鬼の矢柄は、真っ直ぐに伸びた花茎を、鬼の持つ弓矢の軸に見立てたのが由来です。別名ヌスビトノアシ(盗人の足)と呼ばれ、転々と生える様子を盗人の忍び足に例えています。ラン科の葉緑素のない多年生の寄生植物です。地中のナラタケ菌に寄生して、養分を得ながら共生しています。花はつぼ状で総状にたくさんつけ、葉はなく、棒がにょっきりと立っています。乾燥させた根茎は、天麻(テンマ)という生薬になります。漢方では強壮薬や、頭痛、めまいに用いられる他、各種の漢方処方にも配剤されます。
 先日、習志野の日本大学薬用植物園へ野外観察に行って来ました。駅から植物園まで歩く途中に、オニノヤガラを何十本も見つけ、こんな所にも自生していることに驚きました。千葉県レッドデータブックでは、要保護生物に入っています。オニノヤガラとは、一度見たら忘れられない、実にうまい名前をつけたものだと思いました。

梅雨時に鬼の矢柄がにょっきりと


マツバギク(ツルナ科) 第182章 2015年8月号

日当たりの良い場所を好むマツバギクは、庭の隅や石垣、道端等のいろいろな場所で栽培されています。株が大きくなるとピンクの花で覆われて、一斉に開花すると素敵です。
 和名松葉菊は、葉は松葉のように棒状で、花はキクに見立てたのが由来です。南アフリカ原産のサボテンのような多肉植物なので、暑さや乾燥に強く丈夫です。別名サボテンギクとも言われますが、キク科の仲間ではありません。茎は、地を這い下部が木質で、枝分かれして横に広がり、線形の葉は対生です。草丈は20㌢ほどですが、はっきりした花形や色彩が鮮やかで、黄色や赤もありますが、基本はピンクです。常緑多肉の多年草で、枝先を摘んで挿しておくと一週間ほどで根づくので、さし芽で殖やせます。花は昼間は開き、夕方以降は閉じ、雨や曇りの日も閉じます。
 先日、成田市荒海を車で通ると、マツバギクが見事に咲いていました。その家の人に、「なぜ、こんなにマツバギクを育てているのですか」と尋ねると、「土が崩れないためと、この花が大好きだからです」と話してくれました。そして、その花をくださいました。心に残るひと時でした。

  松葉菊つゆ明け待ちし咲き乱れ



ミョウガ(ショウガ科) 第183章 2015年9月号

我が家では、屋敷林の木陰に薬味として、サンショウ、ミツバ、シソとならびミョウガ等を育てています。ミョウガは高さ1㍍、葉30㌢ほどの多年草で、古くから食用にされていました。
 和名茗荷は、漢名蘘荷(ジョウカ)の字音がなまったのが由来と考えられます。古い時代に中国から渡来して野生化してやぶなどに生えています。根元に小さな花茎を出し、そのてっぺんに花を付けます。唇形のランに似た淡い黄色の花は、1日でしぼんでしまいます。花の咲く前の方が食べるのに適しますが、花が咲かないとなかなか見つけにくいです。「ミョウガを食べると、物忘れがひどくなる」という俗説もありますが、逆に香り成分に集中力を増す効果があります。血液の循環を良くし、消化促進にもなります。
 ミョウガは、夏から秋にかけての間が旬です。食物繊維が多く、特異の香りとシャキシャキした歯ごたえは食欲をそそります。地下茎はあまり太らず、食べるのは地上部です。そうめん等の薬味、卵とじ、天ぷら、甘酢漬け、千切りにし漬物に添えて、みんなで香味野菜を味わっています。

  庭先に人立ち止まる花茗荷



クリ(ブナ科) 第184章 2015年10月号

遠山地区は、クリの生産量が多く、我が家では、昔から栗を栽培しています。今年は、9月1日にクリの出荷をしました。品種は、丹沢と筑波です。早朝からクリを拾いJA遠山支所に軽トラで8時までに搬入しました。
 和名栗は、黒い実を意味するクミの転化が由来です。落葉高木で、花期は6月頃です。枝の上方に淡黄色の多数の雄花が穂状に咲き、その下に雌花が数個咲きます。穂状の花が垂れ、特有の香りを放しています。秋に、刺のあるイガの中に、1~3個の実が入っていて熱し、イガが裂けて実が落ちます。落ちたばかりのクリは、本当にピカピカに光っています。「おお、いいクリだ」と叫んでしまいます。品質の良いクリを作るには、何回も下草を刈ったり、消毒したり、剪定したりして年間を通して栗畑の管理が必要なのです。
 薬用部分は、イガと渋皮は秋に、葉は夏に採集して日干しして粗く刻み、紙袋に入れて保存します。消炎作用があり、うるしかぶれ、あせも、やけどなどに外用します。クリは、縄文時代にもあり、古くから食糧とされてきました。現在では、ゆで栗、栗ご飯、栗の渋皮煮、栗羊羹など用途が多く重宝しています。

畑の中落ちしばかりの栗の艶


カキ(カキノキ科) 第185章 2015年11月号

私は、毎日何度となく野草園を散策しています。手を伸ばせばもぎ取れるカキの実を、すぐ丸ごと食べてしまいます。歯が丈夫なことと、子どもの頃から身近な食物として親しんできたからでしょうか。
 和名柿は、赤黄により、紅葉の色と果実の色にちなむのが由来のようです。奈良時代に中国から渡来しました。6月頃、淡黄色のつぼ形の花をつけます。秋には実がなり、赤黄色に熟します。秋の果物の中でも、特に親しまれ、色、形、味などに多くの品種があります。我が家のカキは、フユウガキ、ジロウガキ、フデガキ(チンポウガキ)、ハチヤガキ、マメガキ、タイシュウガキ(新品種)等です。渋ガキは、ヘタの所を焼酎につけ、ビニール袋に入れ渋抜きをします。カキ渋は、渋うちわ、番傘などの民芸品にも利用されます。
 「カキが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど薬効があります。血液の浄化作用や利尿作用があります。二日酔い、高血圧症、動脈硬化症等に効きますが、おなかを冷やすとも言われています。我が家では、初夏には若葉を天ぷらにし、秋には有田焼の柿右門の湯呑で一服し、晩秋の里山を満喫しています。

絵にしたき熟れ柿一つ夕日浴び



ユズ(ミカン科) 第186章 2015年12月号


 庭にユズの木が6本あります。近くに行くと、爽やかな香りが漂っています。「ああ、なんていい匂いなんだろう」。ユズを薄く切って白菜に添えたり、白砂糖をかけたり、ユズ味噌等にして食しています。
 和名柚子は、漢名の柚に、果実の酸味が強いことから「酢」をつけ、ユズの由来といわれています。中国原産の常緑小高木で、日本には奈良時代の頃に伝わり,各地で栽培されました。5月下旬には、芳香のある白色5弁の花が咲きます。高さ4㍍ほどで、枝には長くて鋭い刺があります。ミカン類のなかでも、寒さや病害虫に強いです。ただ、生育が遅く「桃栗三年柿八年、梅はすいすい十三年、柚子の大馬鹿十八年」と言われています。我が家では、カラタチの木で接ぎ木をすると、5年ほどで実がなりました。
 1222日は冬至です。この日にユズ湯に入ると、一年中無病息災でいられると言われています。薬用部分は果実で、ビタミンCが肌から吸収され体が温まり、風邪予防にもなります。冷え症や食欲不振にも薬効があります。もうすぐお正月です。香りが高く果肉の酸味も良いので、日本料理に欠かせません。

   夕映えを受けて輝く庭の柚子


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