『愛され、親しまれ、信頼されるJA』を目指して
JA成田市


JA成田市広報紙「みのり」掲載(毎月1回発行)
花と遊ぶ『遠山野草園の四季』著者・安達廣子(小菅)

ツルウメモドキ(ニシキギ科) 第127章 2011年新年号掲載

 「きれいだね。黄色い丸い実が割れて中から赤い種が見えるよ。三つ入っているね」三角コーナーのビナンカズラに巻き付いたツルウメモドキの黄赤色は、花の少ない時季にひときわ華やかで、訪れる人の目を引いています。
 和名蔓梅擬は、つる性の果実がウメモドキに似ているのが由来です。別名ツルモドキとも言われます。花は初夏に咲き、小さくて色も黄緑色と目立たないので見過ごしてしまいます。山野に多く見られ、つるは長く巻き付いたりして五メートルにも伸びます。大豆くらいの実が晩秋黄色くなり、やがて殻が三つに裂けて中から赤色の種子が出ます。葉は早く落ちるので、残った実がことに目立ち美しいのです。生花やリースに用いられ、人気があり見つけるとすぐに採られてしまうので、めっきり見かける機会が減っています。
 成田市生涯大学院一年生の頃、学園祭の練習を無欠席でがんばった五、六人の友だちにツルウメモドキの冠を作ってあげました。男女ともたいへん喜んでくれたことが思い出されます。ツルウメモドキと学園祭は、思い出すと胸がキューンとなります。

  広き野につるうめもどき人を呼ぶ


シバザクラ(ハナシノブ科) 第128章 2011年2月号掲載

 「わあ。咲いてる咲いてるシバザクラだ」作業場の前庭の一角にピンクと白の芝桜が咲いていました。大寒の一番寒いこの時季に、やっと見つけました。日当たりの良い場所を好むので、そこだけが明るく小さな春がきたようです。
 和名芝桜は、シバのように地面を這い、サクラの花に似た花が咲くのが由来です。別名ハナシバやハナツメクサとも呼ばれます。花はピンク、白、紅、紫、絞りなど色とりどりです。寒さや乾燥に強く、お正月の香取神宮の参道では白花が咲き初めていて、参拝客へのおもてなしのようでした。花は可憐な五弁花のハート型で、花壇や斜面の土留め、石垣、鉢植えなどに利用されています。北アメリカ原産で草丈は低く十センチほど、茎は地を這って伸びる常緑の多年草です。 二年前の四月、埼玉県秩父市羊山公園の芝桜の丘を見てきました。花は丘全体を覆うように一面に咲き、絨毯のようです。友人と手作り弁当を食べながら、大パノラマ写真を見ているような錯覚をおこしました。色の配置も芸術的で美しく、今でもはっきりその情景を思い出させてくれます。

   咲き初めし冬枯れの野に芝桜


ノースポール(キク科) 第129章 2011年3月号掲載

 「この花、毎年こぼれ種から芽を出し、丈夫で石の間からも出るんだよ。すごいよ」吉倉の友だちは、ノースポールを見ながら話してくれました。さっそく家に帰って、昨年咲いていた日当たりの良い場所をと、こぼれ種からノースポールが育っていました。
 この花は、白いキクのような小さな花で、満開の時は株全体を覆うほどに白く咲くところから、「北極」を連想させます。これがノースポールの名前の由来です。原産地は地中海沿岸で、シュンギクやマーガレットに似ている花で、耐寒性もある一年草です。よく発芽し、草丈は二十センチほどで、鉢植えや寄せ植え、花壇の縁取りなどにも適しています。雨が上った後、花好きな中郷公民館の職員さんがこぼれ種を見つけては、根をできるだけ壊さず同じ所に寄せたり、好きな場所に移植していました。さほど手間もかからず、花期も長く楽しめる花です。
 先日、遠山小学校の前をウォーキングしていると、フェンス側の長い花壇にノースポールが咲いていました。前列にはビオラやパンジーも咲いていました。寒さの中で作り育てることに大きな意味がある花です。

  春日和すくすく伸びるノースポール

ナノハナ(アブラナ科) 第130章 2011年4月号掲載

 ♪菜の花畠に入日薄れ、見わたす山の端霞ふかし。春風そよふく空を見れば、夕月かかりてにほひ淡し♪
  安達ヶ原に立つと、いつの間にか「朧月夜」を口ずさんでいます。
 和名菜の花は、「野菜(菜っ葉)の花」という意味から名付けられました。ナノハナは、春によく見かけるアブラナ科の黄色い花の総称です。別名ハナナ、ナタネノハナ、アブラナとも呼ばれます。千葉県の花は「ナノハナ」で、体操は「なのはな体操」です。古くから栽培され、花期も長く草丈七十センチほどで、葉は茎を抱いて、茎の先に十字形の黄色い花が密集して咲きます。花後は細長い実をつけ、熟すと小粒の種子を散らします。この種子をしぼったものが菜種油です。我が家では、お浸し、和え物、汁の実などでほろ苦さを味わい、切り花としても利用しています。
 東日本大震災後、エコアグリパークの菜の花畑を散策しました。明るい黄色で、むせかえるような香りをふりまき農村景観の美を見せてくれました。自然の恐ろしさと美しさを体で感じ、「人間は自然に生かされている」と、強く心に思った春です。

  菜の花や安達ヶ原を黄に染める

ムラサキケマン(ケシ科) 第131章 2011年5月号掲載

 ヤマザクラの花が散り新緑の中、東屋の横の道を下ると、湿地で紅紫色の花の群生に出会います。
 「この葉っぱ、ニンジンに似ているね。花は、ヒメオドリコソウやレンゲソウにも似ているよ」友達は、ムラサキケマンの花を見つけて言っていました。
 和名紫華鬘は、紫色のケマンソウのことです。華鬘というのは、仏殿の欄間などの装飾具のことです。別名ヤブケマンとも呼ばれ、林の藪などに普通に生えています。春も盛りになると、林や畑の土手に紅紫色の花を咲かせる草丈三十センチほどの多年草です。葉は深く切れ込み全体に軟らかい感じで、茎を傷つけるといやな臭いがします。実は、熟して触ると種が飛び散ります。その種には、カタクリと同じくアリの好む物質がついていて、運ばれやすくなっています。
 先日、南三里塚遊歩道沿いの木陰にムラサキケマンを見つけました。群生している姿は小さなレンゲ畑のようで、つい足を止め、過ぎゆく春を惜しみました。四季の移り変わる速さに、驚いた一時でした。

   晩春に紫華鬘群れ咲きし

ナツトウダイ(トウダイグサ科) 第132章 2011年6月号掲載

 見返り坂の日当たりの良い場所では、冬に赤い芽を出し、三月に入ると少し葉を広げ、四月初めに褐色のナツトウダイの花が咲き出しました。夏と名前がつくのに、トウダイグサの仲間では最も早く春に花をつけます。
 和名夏灯台は、昔明かりとして使った灯台に全体の形が似ているのが由来です。草丈四十センチほど、葉は楕円形、茎の先に輪生する五枚の葉のわきから枝を出し、花をつけます。この花の特徴は、腺体と呼ばれる部分です。U字型のものが四個付いていて、昆虫を誘うための蜜を出します。緑色の玉の部分は、熟すと実になります。茎を切ると白い液が出る毒草です。昔の子ども達は、野山でトンボを捕まえて、ナツトウダイの白い液を、「おっぱい飲ませっぺ」と、トンボの口にあてて、ぱくぱくする様子が面白いと遊んだそうです。
 小菅の老夫婦にナツトウダイを見せると、おばさんは上にかざし、「こうもり傘みたい。自然はうまくできてるよ」と言い、おじさんは、「葉はみんな同じ間隔で、幾何学模様で狂ってない」と、それぞれ感心していました。まるで誰かが考えて作ったような植物の姿の不思議さに、感動した楽しい時間でした。

  初夏に入りつんつん伸びる夏灯台

ナルコユリ(ユリ科)  第133章 2011年7月号掲載

 「葉の並び方や曲線が美しく、花が地味で可愛らしくぶら下がっているのがいい」
東屋の脇に咲くナルコユリを見ながら、風情
が素晴らしいと、大栄の友達は感激していました。
 和名鳴子百合は、並んで下垂する花の様子を、田んぼに吊された鳴子に見立てたのが由来です。高知のよさこい祭りで使う踊りの道具を思い出します。ユリのような形の葉が互生し、筒状の緑白色の花は二センチほどで先の方が濃く二〜五個くらい付きます。花のあとの果実は球形で黒紫色に熟し、草丈は一メートルほどで日陰の林に楚々と生える多年草です。地下茎は横にのびエビの尻尾のようです。アマドコロと似ているので間違いやすいです。葉の形や咲く時季でも分かりますが、茎を手で触って角張っていればアマドコロ、丸ければナルコユリ、これを「角ドコロに丸コユリ」と覚えました。
 六月八日午後七時半頃、東屋から湿地を見下ろすとホタルが乱舞していました。相手を探しているのか、私とナルコユリの方まで飛び交って、光を放っているのです。急いで孫達を呼び、幻想的な世界にひたりました。

   草むらに鳴子百合咲く五月晴れ


アカバナユウゲショウ(アカバナ科) 第134章 2011年8月号掲載

 早朝5時、小さいピンクの可愛いアカバナユウゲショウが咲いています。家の周りに野生化して雑草と共存しています。種がこぼれ毎年とんでもないところに咲くのです。
 和名赤花夕化粧は、淡紅色の花を夕方開くことが由来です。別名ユウゲショウとも言います。名前から想像すると艶やかなイメージのユウゲショウですが、名前に似合わず朝早く咲き始め、夕方にはしぼんでしまいます。なぜユウゲショウなのかいつも不思議に思います。オシロイバナも別名ユウゲショウと言われ紛らわしいので、こちらはアカバナユウゲショウと呼んでいます。南アメリカ原産の帰化植物で、花は1センチ、草丈40センチほどの多年草です。浅く窪んだピンクの4弁花は赤い筋が目立ち、茎は基部で分岐しています。芝山水辺の里にも赤い棒を目印に、真夏に咲くこの花を保護していました。
 6月に大栄の男の人が、可愛いピンクの花を持参して「この花の名前を教えて欲しい」と訪ねてきました。最近よく見かけるアカバナユウゲショウです。図鑑を開き確認したのでとても喜んでいました。教えることは学ぶこと、花と人との出会いに感謝しています。

   可憐さも真夏に耐える夕化粧

ツユクサ(ツユクサ科) 第135章 2011年9月号掲載

 まだ朝露が光る頃に咲くツユクサの花は、青と白と黄色のコントラストが良く、何となくミッキーマウスの顔の形に似ています。郵便受けの周りには白花も群生し、斑入りの葉も彩りを添えています。
 和名露草は、露を含んだ草のようであることが由来です。名前の通り、花は露にぬれる朝に咲いて、午後にはしぼみます。別名アオバナやホタルグサと言い、古名はツキクサです。茎の下部が地面を這い、節から根を出して枝分かれする、草丈30センチ程の1年草です。花びらは3枚で青色の2枚は大きく、1枚は小さく透き通って、雄しべが2本長く突き出ています。茎の先に貝状の包がつき、この中に数個の蕾が入っていて1つずつ咲きます。万葉集にあるツキクサの歌は、はかなさやうつろいやすさを恋心になぞられた歌が多いです。染料としても用いられたようです。
 4月、遠山小学校1年生の生活科で「花の
汁で色を染めてみよう」の活動がありました。どの児童も紙にツユクサの汁で指絵を描いて楽しんでいました。子どもの頃、その汁で指を染めたり色水遊びをして親しんだ、昔を思い出させる懐かしい花の1つです。

  露草や我が目を奪う青の色

センニンソウ(キンポウゲ科) 第136章 2011年10月号掲載

 郵便受けの脇に、センニンソウの真っ白い花がツツジに絡まりお客様を迎えるように咲いています。道端や林を歩いていると、この白い花が目に付きます。茎を手繰ると下部は木質化していて、冬でも枯れません。
 和名仙人草は、花が終わると、花柱がのび羽毛状の白くて長い毛が密生する様を仙人の髭や白髪に見立てたのが由来です。花は2センチ程で上を向いて咲く、つる性の多年草です。白い4枚のがくが十字形について花弁のように見えますが、花弁はありません。種はたいへん面白い形をしていて、風で飛びます。長い柄は曲がり他の物に絡みつき、根は漢方で鎮痛剤などにも用いられます。有毒植物でもあります。
 9月初旬、匝瑳市から見学者が来ました。門道の白い花を見て「昨日、犬の散歩の途中、この花が花嫁さんのベールみたいなので採って花瓶に挿したよ」と嬉しそうに話していました。「ああいい匂い」とみんな鼻を近づけセンニンソウの花を愛でました。あれから私は、時々匂いを嗅いで、花が終わった後の姿を見ては、見学者との楽しかった一時を思い出しています。

 
つる絡み仙人草咲く初秋かな

ススキ(イネ科) 第137章 2011年11月号掲載

 十三夜に、カタクリ塚のススキを採り月見をしました。月を見て虫の声を聞きながら、「萩の花尾花葛花なでしこの花おみなえしまた藤袴あさがおの花」と、口ずさみました。ススキは、秋の七草の尾花のことです。
 和名薄は、すくすく立つ木のような草が由来のようですが、定かではありません。別名オバナやカヤと呼ばれます。獣の尾のように見えることから尾花、刈り取って茅葺き屋根にしたところから茅です。在来種の多年草で草丈2メートルにもなり大きく株立ちします。お嫁に来た頃、お寺の屋根に葺くカヤ刈りの手伝いをしたことがあります。昔は、生活上の必需品で毎年刈り取られていました。月見の時は、ススキは芋や栗と一緒に供え収穫を喜び、翌年の豊作を祈願したものです。ふさふさの穂を利用してふくろうも作りました。穂は、花のように見えますが、花びらはなく雄しべと雌しべだけの花です。イトススキやシマススキ、タカノハススキもあります。
 10月初旬、遠山蘭の会の旅行で日光に行きました。バスの車窓からススキを堪能し、長豊大橋を渡る時、夕闇にススキやオギがなびき、もの悲しく秋の深まりを感じました。

   夕やみに尾花なびきし利根河原

シャクチリソバ(タデ科) 第138章 2011年12月号掲載

 秋になると、昔から塚の周りに真っ白いソバの花が咲いていました。義父は近所の仲間とソバ打ちを楽しんでいましたが、なぜかこのソバの実は食べませんでした。
 和名赤地利蕎麦は、生薬名で赤地利と呼びソバに似ることが由来です。シャクチリソバは牧野富太郎の命名で、ヒマラヤや中国からの帰化植物で、小石川植物園で薬用に栽培されていました。別名ヒマラヤソバやシュッコンソバとも言います。ソバの仲間で、普通のソバは1年草ですが、こちらは多年草です。葉は互生し、丸みを帯びた三角形で先はとがって、長い柄があります。草丈は1メートル程で、茎は中空、枝先に白色の花を固まってつけます。佐倉の「くらしの植物園」に行った時、シャクチリソバという名前が分かり、長年の疑問が解けてとても嬉しかったです。
 下福田からの見学者に、「前からシャクチリソバが欲しかったんだ。これ食べられるよ」と教えてもらいました。段ボール箱に入れて差し上げました。後日、そのお礼の手紙と黒米や赤米が送られて来ました。早速黒米を炊き、シャクチリソバの天ぷらをおかずにして食べてみました。気分は古代人です。

   
塚すそに赤地利蕎麦の白清し

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