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JA成田市


JA成田市広報紙「みのり」掲載(毎月1回発行)
花と遊ぶ『遠山野草園の四季』著者・安達廣子(小菅)

オオハナワラビ(ハナヤスリ科) 第139章 2012年新年号

シュンランの小径入り口に、オオハナワラビが目立ちます。これは数年
前、吉倉の友達
からいただきました。昔、義父は見返り坂に群生してい
るフユノハナワラビを鉢に移し、
来客と野草談義を楽しんでいました。
 和名大花蕨は、フユノハナワラビに似ていて草姿が大型で、ハナは胞
子葉を花に見立て
たのが由来です。数の子状の細かな胞子が密集してい
て、それが成熟し胞子を飛ばして殖
えるのです。光合成を行う栄養葉と
、丈の高
い胞子を付ける胞子葉が地表近くで2分します。冬緑性の多年
草で、シダ植物の仲間です。
草丈は40センチ程で茎に毛があり、葉のへ
の鋸歯は尖って、葉全体が縦長の5角形のように見えます。冬枯れの
野に凜と立つ姿はと
ても素敵です。
 小菅のご夫妻に、オオハナワラビとフユノハナワラビを鉢に入れて差
し上げました。お
じさんは「この花は、他の花と違い風情があるよ」と
言いました。おばさんは「玄関に1
鉢置いてあるだけで趣があるよ」と
嬉しそう
に話していました。ご夫妻そろって喜んでもらってこちらも嬉
しくなりました。交流を大
切にしたいと思える出来事でした。
   冬枯れに大花蕨目立ちけり


フッキソウ(ツゲ科) 第140章 2012年2月号

 野草園の木道沿いの落葉の中に、フッキソウが蕾をつけています。ひ
っそりと目立ちま
せんが、何となく早春を感じさせてくれます。良く見
ると、斑入りのフッキソウも混じって
彩りを添えています。
 和名富貴草は、1年を通して緑が変わらないことと、旺盛な繁殖力を
愛でたことが由来
です。福寿草や吉祥草などおめでたい名前の植物があ
りますが、富貴草もその1つです。
茎の下部は地を這い、上部は立ち上
がって
30センチほどになります。草に見えますが常緑の小低木です。葉
は鋸歯で、互生であるのに
集まって輪生に見えます。光沢のある緑色が
特徴で、日陰でも育つので、庭の下草に重宝
がられています。成田市役
所玄関前の左側花
壇には、フッキソウがびっしり生えています。常緑で
群生するため変わらぬ繁栄を願って植
えられたのでしょう。
 成人の日に、佐倉の「くらしの植物苑」でフッキソウに出会いまし
た。友人は「株が大
きくなると、淡い緑色の若葉と濃い緑色の古葉が混
じってきれいだよ」と呟いていました。
秋には、稀に真珠のような実が
つくので、ぜひ
見たいものです。
   初春や木道沿いに富貴草


ナンテン(メギ科) 第141章 2012年3月号

 我が家では、門道から裏山の至る所にナンテンがあります。鳥が実を
ついばんで遠くま
で運んだのでしょう。お正月に赤い実を玄関に飾るた
め、鳥に食べられないようにビニー
ル袋をかぶせます。
 和名南天は、漢名の「南天燭」を略して、「南天」をそのまま音読み
にしたものが由来
です。高さ1〜2メートル、葉は互生しています。先
端の葉の間から、花序を上に伸ばし、
初夏に白い花、冬に赤い実をつけ
ます。白色
もあり、多くの品種があります。ナンテンは「難を転ずる」
の語呂合わせで、昔から災難
よけの縁起物です。木は南天箸、葉は防腐
用があるので、おせち料理や赤飯、魚料理などに添えられています。
私は、椎茸をお土産
に持参する時は、いつもナンテンの葉を上にのせ新
鮮さと風情を楽しんでいます。

 1月下旬、佐倉の「くらしの植物苑観察会」に参加しました。ナンテ
ンの赤い実が穂のよ
うに垂れ下がり、祝いと厄除けの植物であることが
よく分かりました。冬になるとヒヨド
リなどに好物の実を食べてもら
い、遠くに運
んでもらって子孫を残すナンテンの戦略です。いつもなが
ら自然界の摂理に感心します。

   庭先にたわわにみのる実南天

ユキワリソウ(キンポウゲ科) 第142章 2012年4月号

 今年は例年になく寒さが厳しく、見返り坂の傾斜地に最近になって紫やピンクのユキワリソウが咲き出しました。湿地では、ミズバショウやザゼンソウ、リュウキンカも咲き、遠山の里にもようやく春がやって来ました。
 和名雪割草は、残雪を割っていち早く花を咲かせるのが由来です。ミスミソウやスハマソウの総称で呼ばれます。花は1センチ程で、葉は根生し、草丈15センチくらいの多年草です。葉に先立って花を咲かせ、緑色の部分が雌しべ、それを囲んでいるのが雄しべ、周りは花弁ではなく萼です。艶のある葉は3つに分かれ、トランプの「クラブ」に似ています。花形、花色とも豊富で、交配と増殖が盛んに行われ次々新しい品種を生み出しています。
 昨年の5月8日、富里エノコログサの会が見学に来ました。その中のご夫妻から発泡スチロール箱で育てたユキワリソウをたくさんいただきました。広い野草園で育てた方が良いとのことでした。枯れ葉や傷んだ部分は、病害虫の原因になるので、新しい葉が芽生えてきたら古い葉を摘み取ったりしていました。季節は巡り3月、薄紫のこんなにかわいい花が咲きました。花とご夫妻に乾杯です。
   遅咲きに季節は巡り雪割草

ヒマラヤユキノシタ(ユキノシタ科) 第143章  2012年5月号

 作業場横の原っぱに、ピンクの可愛い花とキャベツのような大きな葉
が存在感を漂わせ
ています。花の少ない時期から咲き始め、5月になっ
ても人目を引きます。

 和名ヒマラヤ雪の下は、ヒマラヤ地方を原産とし、寒さに強く冬でも
常緑の葉を雪の下
からのぞかせることが由来です。明治時代に渡来し、
ベルゲニアやオオイワウチワとも呼
ばれ、雪解けと同時に咲き始め、夏
の暑さに
も結構強いです。花茎を伸ばして花を咲かせ、始めは淡く段々
ピンク色が濃くなります。葉
は大きく丸く光沢があり肉厚で、冬には赤
色になる常緑の多年草です。丈夫で育てやすく、葉と花の対比が良く
草姿がしっかりして
いるため、庭の下草に使われます。
 小菅のご夫妻の家には、モチノキの下でヒマラヤユキノシタが見事に
咲きます。掃きだ
め落ち葉を植物の根元に敷きつめ、適度な湿り気を与
え丹精しています。落ち葉を天然の
万能肥料として、太い根茎を株分け
しながら
殖やしています。これからも、お2人でいろいろな種類の草木
を育てながら、落ち葉で行
う土作りを楽しんで欲しい物です。
  
風そよぐヒマラヤ雪の下初夏近し

ジロボウエンゴサク(ケシ科) 第144章 2012年6月号

 「遠山野草園」の看板下に、ジロボウエンゴサクが咲いています。花
茎の先に数個の花
をつけ、花は後ろへ大きくせり出しています。草姿全
体が軟らかい薄紫色の細長い花は、人
目には付きにくいですが、可愛い
花です。

 和名次郎坊延胡索は、伊勢地方ではスミレを太郎坊、この草を次郎坊
と呼び、延胡索と
は、この種類の漢名に由来します。漢方では、エンゴ
サクを鎮痛剤として用います。花の大
きさは2センチくらい、草丈は15
センチほど
です。花や実の形がムラサキケマンに似ていますが、草丈、
葉の切れ込み、花の数など微
妙に違います。半日陰の湿り気のある所を
む多年草です。熟すと黒い種をはじき、種は蟻が好む甘い部分が付い
ていて、いろいろな
場所に運ばれて発芽します。
 4月、成田野の花会が見学に訪れました。野草園に入るとすぐ「これ
ジロボウエンゴサ
クじゃない」と会員の1人が言うと、講師の先生もう
なずいていました。私も確認できて
嬉しかったです。何やら意味ありげ
な名前な
ので、発足図鑑で調べました。野草園を訪れるみなさんとの何
気ない会話から、いろいろ
な知識が増えていくのは楽しいものです。
   みどり風花びら揺する延胡索

コメツブツメクサ(マメ科) 第145章 2012年7月号

 日当たりの良い庭に出ると、コメツブツメクサが一面にびっしりと黄
色い小さな花を咲
かせています。学校の校庭や公園で、芝生の中に雑草
としてよく見かけます。

 和名米粒詰草は、シロツメクサに似ていますが、全体に小さく黄色い
花穂を米粒に見立
てたことに由来します。命名の由来を知ると、雑草と
言われるただの草が、いっぺんに重み
を増してくるから不思議です。別
名キバナツ
メクサやコゴメツメクサとも言います。ヨーロッパから西ア
ジア原産の帰化植物で、茎は
よく枝分かれし、地面をはって広がります。
3ミリ程の小さな花が20個ほど集まって、短い柄があり、花の後は茶色
くなって下を向き
ます。先日、八街の友だちが、花好きの仲間3人と見
学に訪れました。コメツブツメクサ
を通して、楽しくとても有意義な時
間を過ご
すことができました。
 数日して1通のメールが届きました。「おはようございます。我が家
の真ん前の空き地
にコメツブツメクサがいっぱい咲いていました!黄色
い小さな花の愛らしいこと。もう雑
草などといいません。」新鮮な気持
ちで何度も
読み返しました。
   夏風に米粒詰草からみあう

ムラサキツメクサ(マメ科) 第146章 2012年8月号

 春、安達ヶ原にシロツメクサと混在していたムラサキツメクサは、夏
になると勢力を伸
ばし、秋口まで咲いています。花はシロツメクサより
大きく、色も淡紅色から濃紅色まで
様々です。
 和名紫詰草は、ヨーロッパから日本に輸入された商品の破損を防ぐた
めこの草が詰めら
れたのが由来です。花が赤いのでアカツメクサとも言
います。輸入された牧草が野生化し、
ときには耕地の害草となることも
あります。
茎は下部から盛んに分岐し、斜めまたは直立し株になりま
す。シロツメクサのように地表
を這うことはなく、茎や葉に毛が密生し
てい
ます。葉は3つに分かれ細長く、葉の中に淡い白色斑があり、花の
すぐ下に数枚の葉があ
ります。地下茎や種子で繁殖し、夏の暑さにも負
けない草丈
30センチほどの帰化植物です。
 昨年の7月、妹と「花の浮島」といわれる
利尻・礼文島へ旅立ちまし
た。高原では何十
種類もの花が咲き乱れ、さらに標高の高い場所で、ム
ラサキツメクサの群生に出会いまし
た。霧雨の中、花の赤色が生き生き
して一段
と冴えていたのが印象的でした。とても雑草とは思えないほど
美しい眺めでした。

   立秋に負けじと集い赤詰草

カライトソウ(バラ科) 第147章 2012年9月号

 夏の暑さに耐え、玄関前でカライトソウが咲いています。ワレモコウ
に似た葉ですが、花穂は紅紫色の柔らかいモールのようで、エノコログ
サのような風情もあります。

 和名唐糸草は、花穂が美しく、中国「唐」から渡来した絹糸に見立て
たことが由来です。
しかし、中国原産ではなく、日本特産種です。北陸
地方の高山に自生するワレモコウの仲間
です。ワレモコウは茶色の地味
な花、本種は
紅紫色で先から順に開花し、重くなり垂れ下がります。花
穂は7センチほどで、花には花
弁がなく、雄しべ中心の小さな花が穂状
に集
まっています。花だけでなく葉も春の芽出しの頃から長期間に渡っ
て楽しめ、黄ばみ始め
た秋に掘り上げて根茎を割って殖やします。地下
に太い根茎があり、茎は直立し草丈1メ
ートルほどで庭でも育つ丈夫な
多年草です。

 「わぁ可愛い。これカライトソウでしょう。」図鑑では知っていたの
ですが、自然状態のも
のは堀之内の友達の庭で初めて見ました。初めは
半日陰で育てましたが、葉が白っぽくな
り、茎も倒れやすかったので、
日なたに移植
しました。あれから4年、少しずつ殖えています。友達に
改めて感謝しています。

   立秋に砂礫に強し唐糸草


ヤブミョウガ(ツユクサ科) 第148章 2012年10月号

 東屋の下の池の周りには、ヤブミョウガが群生しています。杉など
が光をさえぎり陰に
なっていて、白い花を輪状に何段も咲かせていま
す。葉も緑で白い花との映りもよく、疲
れ気味の目や体を癒してくれ
ます。

 和名藪茗荷は、葉の形がミョウガに似て藪に生えるのが由来です。
ヤブミョウガはツユ
クサ科で、ミョウガはショウガ科です。ヤブミョ
ウガの葉は茎の中間部にまとまって、ミ
ョウガの葉は2列互生で、花
の形は全く異な
ります。9月になると早く咲いた花の後は青黒く熟
し、後から次々咲く白い花と入り交り
素敵です。草丈1メートル程
で、地下茎の各
所から新芽を出し殖えます。3年ほど前、成田市文化
祭の池坊華道展で、白と藍色の程よ
い調和のヤブミョウガの生花を見
ました。以
来、秋になると丸く小さな米粒のような花が、我が家の玄
関を飾ります。

 8月の川村庭園美術館を彩る花はヤブミョウガです。自生地は一番
奥の林の中で、辺り
一面白い花の群生です。今年も、「わあすごい。
わあすごい」と友人と一緒に花を眺めな
がら、散策路を歩きました。
  仲秋に花色変える藪茗荷

キクイモ(キク科) 第149章 2012年11月号

 ヒマワリを小さくしたような黄色いキクイモが、秋の野草園を彩り
ます。庭のテーブル
や東屋の周り、コゴミの中にも群生しています。
草丈2mにもなり、道端や荒れ地で野生
化している大型の多年草で
す。

 和名菊芋は、キクに似た花が咲き地中にイモができることが由来で
す。別名アメリカイ
モ、ブタイモとも呼ばれます。北アメリカ原産の
帰化植物で、戦後の食糧難の頃に各地で
植えられました。根茎の先に
ショウガに似た
イモができます。これが食料になるため栽培され、食
糧難が去ると急速に忘れられたよう
です。通常のイモ類と異なりデン
プンはほと
んど含まれていません。地中にイモのできないイヌキクイ
モもあります。最近では、血糖
値やコレステロールを下げる健康食品
として
広がっています。今年の3月、松崎のレストランでキクイモの
味噌漬けや素揚げ料理をい
ただきました。初めて食べましたが、おい
かったです。
 花が終わると地下茎が膨らみイモが大きくなります。収穫時期は冬
季で、上部が枯れた
頃がタイミングです。たくさん収穫してキクイモ
の効能を味わいたいと思います。
  
秋深し菊芋の花乱れ咲く

キツネのマゴ(キツネノマゴ科) 第150章 2012年12月号

 雑草扱いなので刈り取ってしまいますが、放っておいたら安達ヶ原
はキツネノマゴの群
生地になるでしょう。花は小さく目立ちませ
が、ともすると見逃してしまうような花で
す。淡紅紫色のキツネノマ
ゴを見つけると、
可愛い花なのになあと少し残念に思います。
 和名狐の孫は、花が終わって長く伸びた花の穂は狐の尾に似て、花
が小さく孫のようで
あることが由来のようです。茎は四角で、下部は
地をはい、途中から立ち上がってさらに
枝分れします。草丈30センチ
ほどで、葉は対
生、卵形で表面に細かい毛が生えています。小さな花
は一斉に咲かず下から順に咲く一年
草です。近寄ってみると、唇形の
花びらに白
と紅色の可愛らしい模様があります。実は熟すと種をはじ
き飛ばし、翌年また芽を出すと
いうことを繰り返し殖えるのです。
 「キツネノマゴ」とは、なんと可愛らしい名前でしょう。植物の名
前には、ネコ、イヌ、
ウサギ、ブタ、カラスといった動物の名前の付
いたものがたくさんあります。親しみを覚える名前の数々に、昔の人
は実にうまく命名し、その植物の良さを引き出しているなあと感心さ
せられます。
   小春日に狐の孫の愛らしさ

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