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JA成田市


JA成田市広報紙「みのり」掲載(毎月1回発行)
花と遊ぶ『遠山野草園の四季』著者・安達廣子(小菅)

マンリョウ(ヤブコウジ科) 第163章 2014年新年号

木々がすっかり葉を落とし、山野にマンリョウの赤い実が一際目立っています。センリョウは葉の上で実をつけるので鳥に食べられやすいですが、マンリョウは実が葉の下につくので、4月頃までしっかり残っています。
 和名万両は、葉下でつく実の数が、葉上につくセンリョウの実の数より多く、センリョウに勝るということが由来です。正月に赤い実を多数つけ特に名前がめでたいので、江戸時代から正月の縁起物として知られています。東アジア原産の常緑小低木で、高さは70aほどです。7月頃小さな白い花を咲かせます。葉は互生し深く強く波打つのが特徴です。実が黄色の「キミノマンリョウ」、白色の「シロミノマンリョウ」の園芸種もあります。カラタチバナは百両、ヤブコウジは十両とも言われ、庭の隅に植えてあります。
 これらの赤い実は、野鳥たちが目ざとく見つけついばむので、種子は野鳥の糞に混じって運ばれ殖えるのです。マンリョウは古い枝葉をすべて落としながら上に伸びていきます。新しい年もこの木にあやかり、良い年になりますようにと、祈りながらマンリョウを玄関に生けました。

   万両の人目に付きし野辺の淵

ウメ(バラ科) 第164章 2014年2月号

 「ああ、いい匂い。ああ、いい匂い」やっと固い蕾がほころんで、安達ヶ原の梅林も早春の香りを放っています。「梅一輪一輪ほどの暖かさ」と嵐雪が詠んだ句のような、そんな季節が巡ってきました。ウメは春のさきがけとして、最も早く咲く花です。
 和名梅は、中国語では「ムメイ」のような発音だったものを、日本人が「ウメ」と聞き取ったのが由来だそうですが、他の説もあります。花は葉より前に咲き、気品があり白梅、紅梅と多くの種類があります。花弁と萼片は5個、雌しべは1個で、雄しべは多数で花弁より短いです。中国原産の落葉高木で、本来薬用として伝来したものです。生薬名は烏梅(ウバイ)で、果実は咳・痰、解熱、疲労回復等の薬効があります。しかし、青ウメを生食すると逆に中毒を起こします。
 「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」と、ことわざにあるように12月頃に剪定をします。果実は6月頃で2〜3aのほぼ球形で、表面に密毛が生えています。入梅になるとウメを落とし梅酒、梅ジュース、夏の土用には梅干し作りで、それぞれを賞味しています。
  
晴天に匂い漂う梅数輪

ミツマタ(ジンチョウゲ科) 第165章 2014年3月号

 東屋の脇のミツマタの花は、小さな蜂の巣のように下向きに咲きます。外側が白色で、内側が黄色っぽく良い香りがします。よく見ると枝が3つに分かれています。次の枝も3つに分かれ、3つ、3つ、3つです。
 和名三叉は、すべての枝が三叉に分かれて出るのが命名の由来です。三椏とも書きます。別名ミツマタコウゾやミツマタノキとも言います。中国原産で高さ2bくらい、葉に先だって球形の頭状花をつけます。樹皮には強い繊維があり、和紙の原料になります。しわになりにくく高級で、また虫害にも強いので一万円札などの紙幣や証書、重要書類等にも幅広く使われています。落葉低木で、葉は長さ10a程で薄く、放任しても不思議に3倍3倍に殖えていき、半球形の美しい樹形をつくります。園芸品種に花が赤いアカバナミツマタもあります。
 昔から小菅地区では、お産が軽くなるように犬供養があります。義母は、山の中から太いミツマタを探して採って来ました。その木を削り「南無妙法蓮華経」と書き、おむすびを藁に包んで、木に引っ掛け拝みました。お陰で4人の子宝に恵まれ、有難かったです。
   三椏の枝先垂れし花盛り

サンシュユ(ミズキ科) 第166章 2014年4月号

 今年は、庭のサンシュユの蕾がいつまでも固く、3月中旬にやっと花
が咲きました。毎
日今か今かと待っていました。小さな花は黄色という
より黄金色に近く、遠くからでも目
につきます。
 和名山茱萸は、生薬名の漢名を音読みしたのが由来です。早春、葉が
つく前に黄色の花
つけるので「ハルコガネバナ」、秋につけるグミのよ
うな赤い実を珊瑚に例えて「アキ
サンゴ」とも呼ばれています。黄色い
小さい
4弁花が枝先に群れ、木全体が黄金色に見えます。高さ5bほど
の木の葉は対生で、落葉
樹です。中国や朝鮮半島原産で、江戸時代に
用として渡来しました。生薬名山茱萸(サ
ンシュユ)の薬用部分は果肉
で、滋養強壮や
冷え症等の薬効があります。枝を1年おきに切ると背丈
が抑えられ、若枝が伸びて花もた
くさんつくので、私は切り花にしてい
ます。

 母がよく歌っていた『ひえつき節』
 
庭の山椒の木 鳴る鈴かけてよ ヨーホイ…に登場する木は、山椒(サ
ンショウ)
の方言で山椒(サンショウ)のことを「サンシュ」と言い、そ
のように歌われています。
  山茱萸の枝先光る黄金色

アセビ(ツツジ科) 第167章 2014年5月号

 今から20年以上も前ですが、小学生の女の子からアセビの苗木をプレ
ゼントされました。
小さな苗木は、今では3b以上にもなり、スズラン
に似た淡いピンクの控え目な小花が垂
れ下がり、木を覆うように咲いて
います。

 和名馬酔木は、馬が誤ってこの葉を食べると酔ったようになることが
由来です。馬酔木
(アセビ)は、葉や茎に有毒物質を含むので、食べる
と脚がしびれることから(アセビ)と
も言われます。アセビは常緑低木
で山地によ
く自生しています。日本の固有種で、昔から人々に愛されて
きた万葉植物のひとつです。
生薬名は馬酔木(バスイボク)で、有毒で
経を麻痺させるので、昔は殺虫剤などに用いられていました。花は、
白色や薄紅色があり
微かに香り、あまり手を加えず仕立てた方が、自然
の趣が出て見栄えがします。

 3月下旬、伊勢神宮を参拝しました。参道の両側は、白一色のアセビ
が植えられていて、
厳かな雰囲気でした。常緑の葉と白い花の対比が鮮
やかで、心に残っています。丁度その
時、天皇陛下のお姉様の池田厚子
様が、数人
のお付きの方々と共にゆっくりと通られました。白いアセビ
に気づかれたでしょうか。

   お伊勢さま花穂垂らせし花馬酔木

タツナミソウ(シソ科) 第168章 2014年6月号

 カタクリ塚やたぬき塚には、白や紫色のタツナミソウが咲いています。日当たりが良く乾燥しがちな斜面に、草姿も愛らしくあちらこちらに自生しています。緑の中に紫色や白色が目につき、立ち止まってしまいます。
 和名立浪草は、花を横から見た形が波頭の
ように見立てたのが由来です。茎の先に縦に並んで立ち上がって咲く花の様子が、泡立つ波のイメージです。東アジア原産で、日本にも自生しとても育て易い植物です。茎の断面が四角形で、草丈30aほどのシソ科の多年草です。茎は直立し全体に白い毛が密生し柔らかい感触です。茎のてっぺんに白い花穂を出し、長さ2a程の唇形花をつけます。地下茎やこぼれ種でも殖えます。春の芽出しの頃に株分けしたり、さし芽もできます。鉢や寄せ植え、石付け、盆栽の脇役にも適しています。
 「この花、北斎の浮世絵の波に似ているね」
と、見学者たちとの花談議はとても楽しいです。先日、堀之内の友達が「この絵見て」と一筆箋に描かれた絵を見せてくれました。それは、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」でした。この絵の波頭にそっくりなタツナミソウです。
   初夏に入り人立ち止まる立浪草

ヤマボウシ(ミズキ科) 第169章 2014年7月号

 梅雨の頃、ヤマボウシは枝が平らに張ってその上に4弁の先が尖った白い花をぎっしりと並べます。中心部にある小花は黄緑色で目につきます。門道の右側と、カタクリ塚と、栗畑の中に5bほどのヤマボウシがあります。
 和名山法師は、中央の丸い小花を坊主頭に、4枚の白い花びらを白い頭巾に見立てたのが由来です。白い花弁に見えるのは、花を保護するために発達した総苞で、花は中心部にある小さな黄緑色の部分です。秋には実がイチゴのように熟すので、別名ヤマグワと呼ばれます。そのままでも食べられますが、果実酒に適し疲労回復に効果があります。日本の山に自生している落葉高木です。夏は葉が生い茂り、冬は落葉し日の光を集めるので、カタクリ塚に植えカタクリの保護に役立っています。ハナミズキに似ていますが、ハナミズキの花は葉がつく前に咲き、ヤマボウシは葉がついてから花が咲きます。
 6月の初めに美郷台地区会館の前でヤマボウシを見つけました。大木を元から切った後の株立ちなのか、14本も立ち上がり見事に咲き誇っていました。花に見とれていて、時のたつのも忘れるほどでした。
   山法師白き清らか塚の上

クサノオウ(ケシ科) 第170章 2014年8月号

 朝露を踏んで野草園を散策すると、柔らかな感じの黄色い花が咲いています。草丈40aほどで葉と茎に縮れ毛があり、4弁花で萼は花が咲くと落下します。葉は菊の葉形で不規則に裂けています。
 和名瘡の王は、皮膚病の特効薬であることが由来です。瘡(くさ)とは、皮膚病の総称です。薬草の王様として「草の王」、傷をつけると黄色の汁がでることで「草の黄」とも言われます。別名イボトリやタムシグサとも言われ、薬草として昔から生活に密着し広く知られています。生薬名は白屈菜(ハックッサイ)で、非常に毒性が強く家庭での内服は絶対にいけません。根茎は地下に真っ直ぐ伸びオレンジ色です。実は直立し4aほどの線状で、種にはアリの好む物質がついていて、アリに運ばれて分布を広げます。
 時々、「この黄色い花の名前は?」と見学者たちに聞かれます。私が手で傷をつけると、茎は中空で黄色の汁が出ました。試しにこれをなめてみると、とても苦い味がしました。他の人も同じように傷をつけ、黄色い汁を出して「本当に草の黄だね」と言っていました。薬にもなるし毒にもなるクサノオウです。
   瘡の王黄に包まれし夏の園


ヒレハリソウ(ムラサキ科) 第171章 2014年9月号

 東屋の前の斜面に、今年もまた薄紫色のヒレハリソウが咲いています。何十年も前から生えていて、何度刈っても、炎天下でしっかり花を咲かせる力強い多年草です。

 和名鰭玻璃草は、上の葉が茎につく様子を鰭(ひれ)に、花を白っぽいガラスに見立てたのが玻璃草(ハリソウ)の由来です。一般には英名のコンフリーの名で、食用または薬用に栽培されています。ヨーロッパ原産の帰化植物で、昭和40年代に健康食品としてブームになりました。義父もコンフリーを植え、その当時のものが野生化して残っています。
 茎はよく分岐して草丈80aほどで、葉は楕円形で互生し全体に白い短毛があります。初夏から秋にかけ、長さ2a程の釣鐘状の白から薄紫色の可愛い花をつけます。生薬名はコンソリダ根で、胃腸疾患や皮膚病に薬効があるそうです。葉の形が有毒なジキタリスに似ているため、採集する時には注意が必要です。
 先日、近所の人が道端のコンフリーを刈り取っていました。通りかかった私に、柔らかそうな葉と花を数本切ってくれました。友達のご夫妻にも分けてあげると、喜んで花瓶に生けてくれました。
  初秋に咲き乱れしやコンフリー  

ヒメクグ(カヤツリグサ科) 第172章 2014年10月号

「なんて可愛らしいのだろう。こんなに小さくて丸っこくて緑色の穂をつけているよ」腰を下ろしてよく見ると、他の草に混じってヒメクグが目立ちます。機械で何度刈り込んでも、地下茎は完全に除去されず、また生えてきます。
 和名姫莎草(ヒメクグ)は、全体に小さいことと、「クグ」とは、カヤツリグサの仲間の古名であることが由来です。原っぱや芝生、畑など日当りの良い湿地に生える多年草です。草丈は20aほどで、茎は葉の間から立ち上がり、先端に3本ほどの長い葉をやや下向きに広げ、その中央の花茎に1aほどのくす玉のような穂を1個つけます。茎の断面は三角形で、葉は線形で先はとがり柔らかく光沢があります。紫色がかった地下茎を掘ると、茎が地面に沿って伸び、その節からひげ根と茎を出し繁殖します。
 千葉市の友達は、カヤツリグサの仲間のことを、「ヒメクグも可愛いけど、ヒンジガヤツリを探しているの。花穂が3個集まり、その形を漢字の『品』の字に見立てたの」と熱く語っていました。私もヒンジガヤツリがとても気になり見たくなりました。
  秋草の中に目立ちしヒメクグや 


シュウカイドウ(シュウカイドウ科) 第173章 2014年11月号

 シュンランの小道の暗い場所に、2a程の淡紅色のシュウカイドウの花が咲いています。花は長い花柄の先に垂れ、花弁が開き真ん中に多数の黄色の粒が球状に集まっています。根を掘ってみると里芋のような塊茎(球根)でした。園芸品種のベコニアの仲間です。
 和名秋海棠は、バラ科の海棠(カイドウ)に似た花を秋に咲かせるのが由来です。中国名「秋海棠」の音読みです。ヨウラクソウとも呼ばれます。日本へは江戸時代に中国から渡来した帰化植物です。特徴は、節が紅色をおび、互生する葉が左右不同です。野生化した群落も目につきます。赤い節の部分が青い大きなハート形の葉の上に伸びています。草60a程の多年草です。秋になると、葉の付け根にムカゴができ、辺りに自然に落下し繁殖します。茎や葉のしぼり汁は、皮膚病に効きます。「秋海棠西瓜の色に咲きにけり」と芭蕉の句にも詠まれています。
 堀之内の友達がシュウカイドウを見た時、「この場所は暗いので、もう少しお日様が欲しいよね」と話していました。さっそく、半日陰の場所に植え替え、一枝手折って花瓶に挿すと、長さがあり切り花に最適でした。
  ひっそりと秋海棠の小道かな 


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