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フクレミカン(ミカン科) 235章 2020年 新年号
我が家には、温州みかんと小みかんはありますが、福来みかんはありませんでした。欲しかったので、江戸崎の弟に頼んで、筑波山特産の福来みかんの苗木を手に入れ、庭の隅に2本植えました。
和名福来蜜柑(ふくれみかん)は、外皮と実が離れてふくれているところが命名の由来です。実と皮の間に隙間が多くふくれているのです。福来みかんとは、縁起の良いネーミングです。古くから、筑波山周辺では自生していて、皮は鮮やかな黄色で、酸味、甘味、香味も良く、この土地ならではの植物です。直径3~4㌢の在来の柑橘類で、果皮は古くから陳皮として七味唐辛子などに活用されてきました。果皮に含まれる成分が、肥満抑制とストレス抵抗性に効果があるようです。最近は、サイダー、菓子、ラーメン等の原材料にもなっています。
南羽鳥の友達は、子供の頃、学校から帰ると、おやつに福来みかんを食べ、「とっても美味しかったよ」と懐かしそうに話していました。去年、成田山散策の時、光明堂の前の庭に、大きな福来みかんの木を見つけました。きっと、「福がきますように」と、植えたのでしょうか。何だか嬉しかったです。
福来みかん黄に輝くや風物詩
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ハルノノゲシ(キク科) 236章 2020年 2月号
野草園を散策すると、あっちにもこっちにも、黄色いタンポポに似たハルノノゲシを見つけ、何度もシャッターを押しカメラに収めました。黄色の頭花は直径約2㌢で、最近、畑や道端でも良く見かける越年草です。生命力の強い植物で、どこにでも生えています。
和名野芥子(のげし)は、葉がケシの葉に似ていることが命名の由来です。別名ハルノノゲシやケシアザミとも言われます。春に咲くのがハルノノゲシで、秋に咲くのはアキノノゲシで、開花時期が異なります。霜にあたらなければ、四季を通じてどこかで咲いています。高さは1㍍程で、茎は太くて柔らかく中空です。切ると、白い汁が出るので、なめると苦い味がします。葉は20㌢程で不規則に切れ込み柔らかく、茎を抱くようについています。刺(とげ)があるけど、葉が柔らかいので痛くはありません。
大寒の日、大清水の友達と畑でばったり会いました。久しぶりに野草談義をして、ハルノノゲシの話になりました。友達は、すぐ近くの防風林の方に走って行き、花の付いたノゲシを採って来てくれました。防風林が霜から守っていたのです。私は、寒中に黄色いノゲシを見たので、びっくりしてしまいました。
寒風に健気に咲くは野芥子かな
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プリムラ・ジュリアン(サクラソウ科) 237章 2020年 3月号
冬の日当たりの良い庭に、色とりどりのジュリアンが毎年咲いてくれます。今年は、隣に黄色の八重咲ジュリアンを植えました。花のコラボレーションが楽しみです。
プリムラは、サクラソウの仲間で、日本では外国産の種類をこの名前で扱っています。プリムラは、ラテン語で「最初」の意味です。春の訪れと共に他の植物よりいち早く開花することが命名の由来です。その中で、ヨーロッパの原種をもとにしたジュリアン系に人気があります。草丈20㌢程の冬に開花するカラフルな色が可愛い多年草です。黄、紫、赤紫、ピンク等、常緑性で開花期が長いので、咲き終わったら小まめに花がら摘みをします。次々と咲かせるのが特徴で、寒さに強いが夏には弱いようです。冬の寄せ植えの花として、パンジーやビオラと同じく親しまれています。
堀之内の友人宅の玄関には、ジュリアンが8株ほどあります。友達は、「ジュリアンは花のないこの季節に、こっちが忘れた頃に、自然に咲いてくれるので、手がかからなくて有難い花だよね」と、笑いながら話していました。日頃、私が感じていた通りのことなので、なんだかとっても嬉しく安心しました。
早春にジュリアン咲きて友笑う |
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ウンナンサクラソウ(サクラソウ科) 238章 2020年 4月号
「種から育てたので、この花あげるよ」
「何と言う名前の花かなあ」
「サクラソウらしいが、良く分かんねえよ」
私は、90歳にもなる花友達との会話が好きで、楽しみでもあります。
和名雲南桜草は、サクラソウの仲間で、サクラソウの故郷である中国雲南省原産が命名の由来です。草丈30㌢程、葉や茎は柔らかい毛に覆われており、葉は羽状に切り込みがあるのが特徴です。葉の間から長い花茎を伸ばし、2~3㌢程のサクラの花びらのような色合いと、優しい雰囲気をかもし出しています。花がらは小まめに小まめに摘みとって長持ちさせます。耐寒性は比較的強く、耐暑性は弱いです。花が終わると、こぼれ種用として、そのまま涼しい場所に移します。6月頃には種がこぼれるので、ある程度大きくなったら定植します。
ある日、大袋の産直館で『雲南サクラソウ』と書いてある名前を見つけました。この花に間違いないと確信しました。1月に頂いた花が咲いたので写真に撮って、堀之内まで持って行きました。その時、友達はウンナンサクラソウの育て方を伝授してくださいました。私も種から育ててみたいと思いました。
春風にピンクに揺れる桜草 |
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ペチコートスイセン(ヒガンバナ科) 239章 2020年 5月号
カタクリの花を見に来た不動ヶ岡の友達と、「ここに居るとコロナ忘れるね」と、笑いながら野草園を散策しました。黄色いスイセンが目につき、「何て言う名前だろうね」と、言っていました。友達が帰ってから、「あの花は、ナルキッスス・バルボコディウムです。詳しく調べてね」と、メールが届きました。
「ナルキッスス・バルボコディウム」は学名で、また、「ペチコートスイセン」とも言われ、ペチコートに似ていることが命名の由来です。小型原種スイセンの代表的種類で、黄色のスカート状の花は、ペチコートを広げた様で高さ15~20㌢程で、頂部に直径3㌢前後の花を1輪横向きに咲かせる多年草です。葉は細くスッと伸び線状で、分球で増やすことができます。主に、地中海沿岸域を中心に森林の開けた場所などに自生しています。
先日の友達に、「ナルキッスス・バルボコディウムを、みのり5月号に掲載するので、是非読んでね」と、電話をしておきました。ペチコートスイセンは、花を咲かせた後、晩春の頃に葉は枯れ始め、夏の間は休眠期に入ります。それまで、楽しみながら観察をしようと思っています。
水仙やペチコートはいてどこへ行く |
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ヒメイズイ(ユリ科) 240章 2020年 6月号
「昔、安達さん家からこの花をもらったよ」と、駒井野の友達が言いました。「家ではヒメイズイはもう無くなったよ」と私が言うと、「今まで見たことのない花で、大事に育てたから1鉢持って行って」と言ってくれました。早速、地植えと鉢植えにしました。
和名は姫委蕤で、委蕤とはアマドコロの漢名で、小形のアマドコロが命名の由来です。アマドコロに似ていますが、高さ5~15㌢で、茎は直立して、葉は5㌢程の長楕円形で互生しています。花は長さ1.5㌢程の釣り鐘状で、緑白色を帯びて先端は浅く裂け、葉の脇から1~2個垂れ下がります。千葉県レッドデータブックで調べると、県内のヒメイズイの自生地は極めて少なく、近辺では栗山川中流の湿原に見られ、千葉県の最重要保護生物になっています。
ヒメイズイは、寒さに強く丈夫な多年草です。根茎は堅く浮き上がるので、時々、土を少しかぶせました。やっと、小さくて可愛いヒメイズイが咲き出しました。嬉しくて、アングルをバッチリ決めて何枚も写真を撮りました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、家でプリントをしました。
春の庭やっと咲いたね姫委蕤 |
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ストロベリーキャンドル(マメ科) 241章 2020年 7月号
去年の秋に、成田さくらの里の山長から、「クリムソンクローバーの種だよ」と、ビニール袋にいっぱい頂きました。早速、有名なミレーの絵画〝種まく人〟のようにクローバーの種を大胆に安達ヶ原に蒔きました。
『ストロベリーキャンドル』は、柔らかい茎の先がまるでイチゴのようで、濃赤色の花はキャンドルが灯ったように見えることが命名の由来です。英名はクリムソンクローバーです。クリムソンは、濃い紅色という意味です。和名は紅花詰草(べにばなつめくさ)です。原産地はヨーロッパで、日本へは明治時代に、牧草として持ち込まれました。夏に枯れた後、そのままにして土を耕すと土壌が改善され、次の作物への肥料となり、牧草に適しています。草丈20㌢~40㌢位で、花は春ごろから初夏に咲きます。鮮やかなトーチのような花は、寄せ植えや切り花、ドライフラワーにも使われています。
5月初旬に友達が来たので、ストロベリーキャンドルを切り花と鉢に入れてあげました。それから、5歳の孫娘も来たので、赤い花の付いている茎を30㌢程に切ってあげました。すると駆け足で台所に行き、小さな花瓶に挿していました。
初夏の風真紅詰草(しんくつめくさ)野っ原に |
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ナツツバキ(ツバキ科) 242章 2020年 8月号
30年前、成田国際文化会館で産業まつりがあり、ナツツバキを買いました。庭木として植え、現在は15㍍もある落葉高木になっています。成長すると樹皮はサルスベリに似て褐色となり、薄い表皮が部分的にはがれた後に現われる樹肌は、つるつるしてきれいです。
和名夏椿は、夏にツバキによく似た花を咲かせることが命名の由来です。別名はシャラノキで、インドの娑羅樹(シャラノキ)と間違ったことに基づいています。葉は厚く互生し長さ6㌢程です。花はツバキと似ていてほとんど区別がつきませんが、花弁の縁に細かいギザギザのきょ歯があるのが特徴です。花は白色で直径5㌢程の5弁花で、花の終わりに近づくと緑のがく片が強く中央に寄り集まり、花弁を押し出して落とします。朝に開花し、夕方には落花する一日花です。
大清水の友達の家にもナツツバキがあったので、先日「ナツツバキの花はもうさいている?」と訪ねると、「ほとんど咲き終わって花は下に落ちちゃったよ」と話していました。緑の葉に白いツバキの花は涼しげで風情があります。ひかえめな清楚な花は、うっかりすると忘れられそうです。
夏椿白き花散る初夏の庭 |
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オトギリソウ(オトギリソウ科) 243章 2020年 9月号
35年程前、福島県南会津の駒止湿原へ主人と子供と旅をしました。そして、民宿に泊り高山植物が自生する湿原を何度も訪れました。その時、湿原でオトギリソウを初めて知り、その後、庭に植え楽しみながら育てました。
和名は弟切草で、鷹の傷の特効薬としてこのことを人に漏らした弟を、兄が怒って切り捨てたという伝説が命名の由来です。別名タカノキズグスリとも言われます。茎は高さ50㌢位、上部で枝を分け、葉は対生し茎を抱き葉先は丸いです。花は1.5㌢位の黄色の5弁花で、朝開いて夕方しぼむ一日花です。日本全土と朝鮮半島から中国大陸と広く分布する多年草です。薬効は、切り傷、止血、虫刺され、打撲等です。葉をもんで出た汁を傷に当てる民間療法が現在でも行われています。
大清水の友人宅の軒下に、オトギリソウの花が風に揺れて咲いていました。友人は、花を見ながら「湯治に行った時、オトギリソウを、35度の焼酎に漬けた小ビンを、虫刺されや止血に常備薬として持ち歩いていたおじさんがいたよ」と、オトギリソウの焼酎漬けの話をして下さいました。オトギリソウは、古くからの日本の民間薬です。
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夏の野に黄花かがやく弟切草 |
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サンゴジュ(スイカズラ科) 244章 2020年 10月号
この樹20㍍もあるよ!
主人が植えて何年になるかなあ!
ここ数年、6月になると、真っ白く雪が降ったように白い小花を咲かせ、9月の赤い実はまるでサンゴのようで目に留まります。
和名珊瑚樹(さんごじゅ)は、秋に真っ赤に熟す実が柄まで赤く、この姿をサンゴに見立てたのが命名の由来です。このサンゴジュは、本州から沖縄、中国南部などに分布しています。花期は初夏で、枝先に大形の円錐花序の白い小花を密に咲かせます。秋には、長さ8㍉程の楕円形艶のあるサンゴのような実が、赤く熟します。その後、黒紫色になって落ちます。葉は長楕円形で、表面は艶々した光沢がある常緑樹です。とても強い樹木で、燃えにくく、街路樹や海岸沿い、防火樹として生け垣などに利用されています。
初夏に入り、大清水の友達は真っ白い花を見て、「安達さん家には、随分珍しい樹がたくさんあるね。初めてみたよ」と言っていました。私は、「名前はサンゴジュで、秋になると、花はそのままで、やがて赤い実に変わるよ」と言いました。鈴なりになった赤い実のサンゴジュを見せてあげたいです。
珊瑚樹(さんごじゅ)の赤き実映えて人目引く |
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センニチコウ(ヒユ科) 245章 2020年 11月号
5月に駒井野の友達と一緒に、土室の友達の家に行ってセンニチコウの苗を頂きました。ビニールポットに10個ずつでした。早速、日当たりと風通しの良い原っぱに植えました。
和名千日紅は、百日草より長く咲き続け、ドライにしても長く色あせないのが命名の由来です。別名は千日草です。春まき一年草で、花期は6月~11月頃までです。茎の高さは30㌢程、直立した茎から多くの枝分かれしています。夏から秋の終わりにかけ、長い花茎の先端に球状の紅色の頭花をつけます。紅紫色、ピンク、赤、白等あります。花に見える部分は苞で、実際の花は、ファインダーから覗くと、やっと見える程度の小さな花です。花持ちが良いので切り花にし、ドライフラワーにするには、風通しの良い所に逆さに干します。葉は花と違ってもろく壊れやすいので、最初から取り除き、ブーケを作っています。
先日、土室の友達の畑に行くと、色とりどりのセンニチコウの花は、今を盛りに咲いていますが、冬になると、白くカサカサした花から種をとります。作業場の前でお茶を飲みながら、「ここは、コロナも関係ないので、畑の中は最高の別荘だね」と大笑いしました。
畑の中長く紅咲く千日紅 |
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アカジソ(シソ科) 246章 2020年 12月号
「あーいい匂い。あーいい匂い」
和風ハーブとも言われ、シソの淡紅紫色の小さな花は、プチプチして愛らしいです。
和名紫蘇は、食中毒で命の危険にさらされた少年が紫蘇の葉で蘇ったことから、「蘇る草」が命名の由来です。紫の系統を赤ジソ、緑の系統を青ジソと大きく分けます。アカジソは薬効成分が多く、アオジソは香味野菜として栄養価が高いです。中国原産で、奈良、平安時代に渡来したと言われています。草丈50㌢位、茎は直立し四角形で多数分枝して繁殖しています。葉は対生、淡紅紫色の唇形の小さな花を多数つける一年草です。葉の生薬名は「紫蘇葉(しそよう)」で、医薬品として認められていて、殺菌、防腐、鎮咳、食欲増進等に効果があります。種子を、乾燥して「紫蘇子(しそし)」と呼び、去痰薬、便秘薬等に薬効があります。
公津地区下方の花友達から、8月にアカジソ着色の梅干しをいただきました。お茶を飲みながら、ダイコンのアカジソ漬けを味わいました。他に、アカジソジュースやベニショウガもあります。11月にも、アカジソの葉の、「ゆかり」をいただきました。ご飯に振りかけたり、おむすびも美味しかったです。
食卓に紫蘇の実の天ぷらが |
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