遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

ウバユリ(ユリ科) 第207章 2017年9月号

 タイサンボクの下草の茂みの中に、ウバユリが咲いています。初夏の頃、あちらこちらに艶のある若葉が育っていましたが、花の咲くのは、数本だけでした。
和名姥百合は、花が咲く頃には、茎の下の方につく葉は、枯れてなくなります。これを『歯がない』姥に例えたのが命名の由来です。茎は太く中程に5~6枚葉がつきます。ユリ科の仲間ですが、不思議な咲き方で、花茎の先に集まって咲きます。淡緑色を帯びた白色で、上下から押しつぶしたような筒状花を3~4個つけ、横向きに咲きます。葉は20㌢位、高さ1㍍位で大型の多年草です。千葉県レッドデータブックでは、一般保護生物(D)に含まれています。環境省の分類では、準絶滅危惧種に入っています。ウバユリを絶やさないように、次の世代に渡したいと思っています。
「あれ、あの花はなんだろう。見たことがないよ」と遊びに来た友人が、草むらの中に咲く変わった花に驚いています。私は、「ウバユリだよ。いい匂いがするよ。こっちに来て香りをかいでみて」と呼びました。友人はすぐ駆け寄って来ました。いつまでもウバユリの香りを確かめるようにかいでいました。

初夏の風孫喜びし浜かんざし

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