「ああ、いい匂い。ああ、いい匂い」やっと固い蕾がほころんで、安達ヶ原の梅林も早春の香りを放っています。「梅一輪一輪ほどの暖かさ」と嵐雪が詠んだ句のような、そんな季節が巡ってきました。ウメは春のさきがけとして、最も早く咲く花です。
和名梅は、中国語では「ムメイ」のような発音だったものを、日本人が「ウメ」と聞き取ったのが由来だそうですが、他の説もあります。花は葉より前に咲き、気品があり白梅、紅梅と多くの種類があります。花弁と萼片は5個、雌しべは1個で、雄しべは多数で花弁より短いです。中国原産の落葉高木で、本来薬用として伝来したものです。生薬名は烏梅(ウバイ)で、果実は咳・痰、解熱、疲労回復等の薬効があります。しかし、青ウメを生食すると逆に中毒を起こします。
「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」と、ことわざにあるように12月頃に剪定をします。果実は6月頃で2~3㌢のほぼ球形で、表面に密毛が生えています。入梅になるとウメを落とし梅酒、梅ジュース、夏の土用には梅干し作りで、それぞれを賞味しています。
晴天に匂い漂う梅数輪