遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

オニノヤガラ(ラン科) 第181章 2015年7月号

梅雨時の栗林に、30㌢ほどの黄褐色のオニノガラが転々と生えています。「今年も出て来たね」と、引き抜くとジャガイモのような根茎がしっかりついてきました。
和名鬼の矢柄は、真っ直ぐに伸びた花茎を、鬼の持つ弓矢の軸に見立てたのが由来です。別名ヌスビトノアシ(盗人の足)と呼ばれ、転々と生える様子を盗人の忍び足に例えています。ラン科の葉緑素のない多年生の寄生植物です。地中のナラタケ菌に寄生して、養分を得ながら共生しています。花はつぼ状で総状にたくさんつけ、葉はなく、棒がにょっきりと立っています。乾燥させた根茎は、天麻(テンマ)という生薬になります。漢方では強壮薬や、頭痛、めまいに用いられる他、各種の漢方処方にも配剤されます。
先日、習志野の日本大学薬用植物園へ野外観察に行って来ました。駅から植物園まで歩く途中に、オニノヤガラを何十本も見つけ、こんな所にも自生していることに驚きました。千葉県レッドデータブックでは、要保護生物に入っています。オニノヤガラとは、一度見たら忘れられない、実にうまい名前をつけたものだと思いました。

梅雨時に鬼の矢柄がにょっきりと

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