氏神様の前のカタヒバは、冬日照を受けてほんのりと紅葉しています。辺りは枯れ草なのに、草丈二十センチほどで、その周りは小さなカタヒバが点々と生え、これから殖えそうです。
和名片檜葉は、イワヒバとの対比から名づけられ、カタヒバは一本ずつのヒノキの枝を差したように見えるからです。乾燥すると、葉が内側に巻き込むが、湿気を含むとまたもとに戻るという特徴があります。山中の岩上や樹上に群生し、細い地下茎が伸び、所々で地下茎を立ち上げて殖えます。常緑の多年草で日なたや盆栽の下草にも見られますが、野草園の木陰や苔の多い所の方がよく見かけます。イワヒバ、リョウメンシダ、クラマゴケ、ヒトツバに混じりカタヒバが生えていますが、日当たりが悪い所は赤く紅葉しません。
「これカタヒバって言うのか。殖えてしょうがないから抜いてるよ。今度とっておいてあげるよ」と、友達は植木鉢の台の下をのぞいていました。植物の名前を知らなくても、その特徴や季節の移り変わりに気づくことの方が心豊かではないでしょうか。名前は後からついてきたものなのです。
木枯しに片檜葉赤くほんのりと
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