遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

カラタチバナ(ヤブコウジ科) 第200章 2017年2月号

タイサンボクの樹木の下に、高さ30㌢程のカラタチバナが数本あります。直射日光や寒風が当たらない場所です。
和名唐橘は、「カラ」は唐。中国や外国からの植物のように風変りが由来のようです。タチバナに花は似ていますが、木や葉の様子が異なり、唐もののようだからです。常緑低木で、笹形の葉は互生し、分枝しません。花は白色で夏に咲き、果実は秋に熟し翌年まで落ちません。古典園芸植物の一つで、江戸時代に品種改良が進み、全盛の頃は非常に高価なものでした。センリョウ(千両)や、マンリョウ(万両)に対比させて、カラタチバナは(百両)の別名があります。共に、お正月用の縁起物として知られています。葉や果実は、マンリョウより大きく、熟した果実は生食できます。果実酒にもなります。
冬になると、赤い実は、一瞬の間に鳥に食べられてしまいます。今年は、正月が終わるまでビニール袋を被せました。鳥も食糧不足のようで、袋を取り除くと、翌日にはすっかり実は無くなっていました。鳥は、糞で種を蒔き散らし、植物の命の連鎖のお手伝いです。古典園芸植物を次世代に伝えたいものです。

早春に赤一色の唐橘

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