遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.19

キツネのマゴ(キツネノマゴ科)  第150章 2012年12月号

雑草扱いなので刈り取ってしまいますが、放っておいたら安達ヶ原はキツネノマゴの群生地になるでしょう。花は小さく目立ちませんが、ともすると見逃してしまうような花です。淡紅紫色のキツネノマゴを見つけると、可愛い花なのになあと少し残念に思います。
和名狐の孫は、花が終わって長く伸びた花の穂は狐の尾に似て、花が小さく孫のようであることが由来のようです。茎は四角で、下部は地をはい、途中から立ち上がってさらに枝分れします。草丈30センチほどで、葉は対生、卵形で表面に細かい毛が生えています。小さな花は一斉に咲かず下から順に咲く一年草です。近寄ってみると、唇形の花びらに白と紅色の可愛らしい模様があります。実は熟すと種をはじき飛ばし、翌年また芽を出すということを繰り返し殖えるのです。
「キツネノマゴ」とは、なんと可愛らしい名前でしょう。植物の名前には、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、カラスといった動物の名前の付いたものがたくさんあります。親しみを覚える名前の数々に、昔の人は実にうまく命名し、その植物の良さを引き出しているなあと感心させられます。

小春日に狐の孫の愛らしさ

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