遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.19

キツリフネ(ツリフネソウ科) 第125章 2010年11月号

「一本の細い柄で、つり上げているんだね。下の花びらは蝶の羽のようで、茎は真っ直ぐ」芝山の友人は、葉を手で触ったり匂いをかいだりして、五感を働かせています。息子さんの結婚式の招待状を持参した友人に、祝い花としてキツリフネを見せてあげたのです。
和名黄釣船は、黄色い花のツリフネソウが由来です。花が帆掛け舟をつり下げたような形をしています。紅紫色の花が普通ですが、黄色はめずらしく印象的です。茎の上部で枝を分け、枝から柄をいくつか出して黄色い花をつけ、花の内面には赤褐色の斑点があります。漏斗状の花が柄からぶら下がり、舳先の部分が巻いています。草丈は八十センチ程、茎の節はふくらみ、葉は楕円形で柔らかいです。キツリフネは、ホウセンカと同じように熟すと果皮が裂け、勢いよく種子をはじき飛ばす一年草です。別名ヤマホウセンカ、花の形がほら貝にも似ているのでホラガイソウとも言われます。
四、五年前に、野草園見学者にキツリフネをいただき、東屋の下の湿地に植えました。清楚な草姿に魅了され、長靴を履いて湿地に入っては、自然のすごさに感動しています。

湿り地にみずみずしさの黄釣船

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