遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

クロモジ(クスノキ科) 第179章 2015年5月号

いつ咲くかと待っていたクロモジの花が、やっと咲き始めました。黄緑色の花は、葉が出るのと同時に下向きにつき、小枝の上に並ぶのが面白いです。40年以上前から、木漏れ日が当たるような半日陰で育っています。
和名黒文字は、若枝の表面にでる黒い斑紋を文字に見立てたのが由来です。古くからこれを削って楊枝を作っており、楊枝の木とも言われています。現在でも和菓子など、特に選ばれた所では、クロモジの楊枝が使われています。枝を高級楊枝の材料として、茶席での必需品で、楊枝自体も黒文字と呼ばれています。葉や枝には芳香があり、枝葉を蒸留して黒文字油をとります。果実は、10月頃に黒く熟し光沢があります。落葉低木で、若枝は緑色のすべすべ肌、次第に黒い斑紋がでて、古くなると灰色の樹皮に覆われます。
クロモジは、葉や枝ぶりの雰囲気を楽しみ、剪定の手間もほとんどかかりません。義父は、冬になるとクロモジの枝を切り、楊枝を作っていました。短いのや長いのもあり、用途により使い分けをしていました。特に根本に皮を残すのが上品とされています。私は、お盆にクロモジの花を添え、お茶会をしています。

黒文字の香り残せし雨上がり

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