遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

シラン(ラン科) 第180章 2015年6月号

初夏の野草園には、紅紫色のシランがよく似合います。丈夫で耐寒性もあるので、湿り気と日当たりの良い場所で栽培しています。
和名紫蘭は、その名の通り、紫色の蘭というのが由来です。葉は硬くて幅広く、太い縦脈が目立っています。草丈50㌢ほどの多年草で、花茎を出し、花は下から総状に咲き上がります。栽培がやさしいためか、花が好きだった義母は、畑にいっぱいシランを殖やして、近所の人に鍬で掘って分けてあげていました。
山間の湿地に自生するシランは、千葉県レッドデータブックでは、要保護生物に入っており、絶滅が危惧されています。生薬名は白笈(ビャッキュウ)で薬用部分は鱗茎で、外傷薬や胃腸薬などの薬効があります。シロバナシラン、クチベニシラン、フイリシラン等の種類もありますが、薬効は同じです。
今年も、下総地区の滑河山龍正院(滑河観音)のシランを訪ねました。山門を入り寺務所の前は、5月の上旬でしたので7分咲きでした。友人と無言のまましばらく見入っていました。再度、中旬の紅紫の花一色の寺を訪れてみたいと思いました。ここも、私の大好きな「お花の見学場所」です。

紫蘭咲き母の面影偲ばれる

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