「遠山野草園」の看板下に、ジロボウエンゴサクが咲いています。花茎の先に数個の花をつけ、花は後ろへ大きくせり出しています。草姿全体が軟らかい薄紫色の細長い花は、人目には付きにくいですが、可愛い花です。
和名次郎坊延胡索は、伊勢地方ではスミレを太郎坊、この草を次郎坊と呼び、延胡索とは、この種類の漢名に由来します。漢方では、エンゴサクを鎮痛剤として用います。花の大きさは2センチくらい、草丈は15センチほどです。花や実の形がムラサキケマンに似ていますが、草丈、葉の切れ込み、花の数など微妙に違います。半日陰の湿り気のある所を好む多年草です。熟すと黒い種をはじき、種は蟻が好む甘い部分が付いていて、いろいろな場所に運ばれて発芽します。
4月、成田野の花会が見学に訪れました。野草園に入るとすぐ「これジロボウエンゴサクじゃない」と会員の1人が言うと、講師の先生もうなずいていました。私も確認できて嬉しかったです。何やら意味ありげな名前なので、発足図鑑で調べました。野草園を訪れるみなさんとの何気ない会話から、いろいろな知識が増えていくのは楽しいものです。
みどり風花びら揺する延胡索