庭先の風通しの良い場所に、大きなオトメツバキがあります。実家にも、昔から咲いていたツバキです。柔らかいピンク色で、一歳半の孫娘のように可愛らしいです。花びらを重ね、芯がないのも乙女らしいです。
和名椿は、光沢のある厚い葉を表す厚葉木(つばき)が転じたものと言われ、春の訪れを告げる木とされていました。春の木と書いて椿と読みます。この字は、日本で作られました。オトメツバキは、花弁が幾重にも重なっています。こういう咲き方を、八重咲きでなく、千重咲き(せんえ咲き)と言うそうです。子どもの頃、この蕾を一枚ずつめくりながら口に入れ、達磨さんのように作って遊びました。常緑高木で、葉は互生、厚くて表面に光沢があり、縁には細かい鋸歯があります。江戸時代に多くの園芸品種が作られました。
伊豆大島のツバキ油は、よく知られています。独特なツヤと匂いを持ったツバキ油は、日本の特産です。花の散り方にも特徴があります。他の花のように花びらが一枚ずつ落ちるのではなく、花首からぽとりと落ちます。昔は、不吉とも言われたことがありますが、日本人に愛されてきた花です。
庭先の乙女椿が春を呼ぶ