遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

バショウ(バナナ科) 第195章 2016年9月号

 「バナナの木だ。すごく大きいね」
「違うよ。バショウだよ。良く見てよ」見学者の8割の人は、見上げるほどの高さと大きな葉をバナナの木と間違えているようです。
和名芭蕉は、漢名芭蕉の音読みで広くバナナ類も含む名称です。英語名は、ジャパニーズバナナです。中国原産で、古く日本に渡来して観賞用に庭植えされました。高さ5㍍もあり、大きな葉と夏に変わった花をつけます。若い葉は、巻いて直立しますが、開くと四方に広がります。葉は大きいがどことなく弱々しく、風にあたり破れやすい宿根性の大形多年草です。昔からバショウの葉の繊維で、芭蕉布を織り、衣料や工芸品などに利用されてきました。沖縄及び奄美大島の特産です。薬用部分は、葉と根茎で利尿、解毒、止血等に効があるようです。
花はクリーム色で、上方に雄花、下方に雌花が垂れ下がってつきます。果実は、バナナ状になりますが、食用には不適です。江戸時代の松尾芭蕉は、深川の自宅の庭にあったバショウから、自分の名前を芭蕉と付けたようです。40年以上前に、義父が植えた大きなバショウの花が風に揺れています。

 夕暮れに花揺さぶりて芭蕉風

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