遠山野草園Toyamayasouen

遠山野草園
2021.10.20

ムシトリナデシコ(ナデシコ科) 第157章 2013年7月号

毎年5月頃になると、日当たりの良い草原に紅色の小さな5弁花を傘状につけたムシトリナデシコが咲きます。水はけの良い場所を好み、道路沿いのコンクリートの隙間などにも生育しています。
和名虫取り撫子は、茎の上部の茶色い部分から粘液が出て、そこに虫がくっ付いて動けなくなることが由来です。1㌢前後の粘着部分は、虫を溶かして吸収するわけではないので、食虫植物ではありません。別名ハエトリソウやハエトリナデシコと言われます。大正生まれの父母は、ベタベタソウとかムシトリバナと呼んでいました。ヨーロッパ原産の帰化植物で、草丈60㌢ほどで花は可愛らしい紅色のため、除草の際にも残しています。あまりに懐かしいので仏壇にそっと生けてみると、水揚げが良いので生き生きしていました。
年に一度のコバンソウの会で、お食事会をしました。その部屋の大きな花瓶には、ムシトリナデシコが生けてありました。みんなで茎を触っては、「本当だあ。ネバネバするよ」と、童心にかえってはしゃいでいました。紅色の花をバックに記念写真を撮り、思い出の花がまた一つふえました。

梅雨晴れに虫取り草の咲きはじめ

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